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♯5小笹文 AYA OZASA 「ネットの達人が創り出すリアル」

 

今回のインタビューは、大規模イベントのイベントプラットフォームサービスを提供するイベントレジスト株式会社※1COO小笹文さん。華やかなキャリアを歩んできた小笹さんは、「過渡期のカオス感」が大好きだと話してくれました。

キャリア

三戸:
小笹さんのキャリアはリクルートから出発しているんですよね。
小笹::
はい。1999年にリクルートに新卒で入って、
7年間半在籍していました。
最初の1年半は、マーケティングシステム推進部といいまして、
ファクスの一斉送信の仕組みを売る、リクルートにしては、地味な部署に配属されて。
三戸:
時代を感じますね。
小笹::
そうそう。
30人位営業部員がいる中で女性が2人という、
ものすごい男社会かつ体育会系のところでした。
三戸:
そういうところって、
ものすごく可愛がられるかしごかれるかの二択ですよね。
小笹::
とにかく厳しかったです。
もう毎日毎日泣いて。私も負けず嫌いなので、すごく悔しがりながらやってました。
でも、ここにいた1年半で、熱のある先輩方に、営業のやり方とかお客さんへの態度とか、
そういう根本的なところをたたき込んでいただきましたね。
そのあとブライダルの事業部に配属になりました。
三戸:
ガラっと変わりましたね。
小笹::
ゼクシィの営業かつ、担当がジュエリー業界で。
ものすごい男社会から、ものすごい女社会への異動(笑)
それまでは、どっちかというとインフラに関わる仕事をしてたので、
ここではじめて広告営業の仕事をすることになりました。

 

 

転機

小笹::
特にリクルートの広告というのは、
良い場所に広告が掲載されることが一番重要で、広告費の多寡がものを言う。
けれども、スポンサー様に出していただいた広告費に対して、
ちゃんとその効果を還元できているのかとか、
お金を持っているお客さんだけがもうかるという仕組みって何なんだろうという疑問を持ってしまったんですね。
すごく大きいお客さんもいれば、街中で一生懸命昔から頑張ってる小さなショップみたいなところもあって、
でも街中のジュエリー屋さんは、すごくいいものを持っているのに、なかなか注目されない。
そこにジレンマを感じました。
三戸:
質を測るのは難しいということですね。
写真1
※リクルートおよびグーグル時代にもらった表彰状の数々。すごいです…
 
小笹::
従来型の広告モデルへの根本的な疑問ですね。
そのことだけが理由ではありませんが、いろいろあって転職を考え始めたころ、
エージェントにGoogleを紹介された。
その時期ってYouTubeとかもまだ世の中に出ていなくて、
GoogleではGoogleAdWords※2という広告だけが主な収入源でした。
まだよく知られていない仕組みだったんですけど、
街角のクリーニング屋さんでもナショナルクライアントでも
対等に広告が出せるという世界をすごく新鮮に感じたんですよね。
ユーザーが求めていれば、ちゃんと広告が出てくるというモデルだから、
広告費の大小とか関係なく対等で公平で。
うわ、ものすごくフラットな広告のプラットフォームだなというふうに思って
それでGoogle行きたい!って思ったんです。
2006年に転職したんですが、当時って、
まだ日本は2桁くらいしかいなかったですね、社員が。

 

誰もGoogleを知らなかった

三戸:
Googleにそんな時代が!
本当に草創期ですね。

小笹::
そう。ワンフロアで、全員の顔を知っていて。
そこで、広告のマーケティング、
とりわけセールスマーケティングを担当することになりました。
三戸:
この時点ではまだイベントにはかかわっていらっしゃらない。

小笹::
まだです。ただ、イベントに染まったきっかけはGoogleなんですよ。
というのは、Googleに入ったときに、
マーケティングの仕事をやっていく中の一つとして広告主さんを呼んでイベントをやったりとか、
日本でローンチしたばかりのYouTubeに広告出したいと思っている広告主さんたちを対象に、
イベントをやったりもしていました。
三戸:
たった10年前のことなのに世の中がずいぶん変わりましたね。
小笹::
そう。その頃は検索エンジンといえばYahoo!という時代でした。
いわゆるナショナルクライアントさんは、
まだGoogleを広告プラットフォームとしては認めていなかった。
Googleのトップページに、バナーを貼ってくれと言われていた時代です。
写真2
※Google時代の小笹さん。
 
三戸:
3年経って出られたころはもう随分変わってましたか?
小笹::
だいぶ変わりましたね。
ナショナルクライアントさんにも普通に使ってもらうようになっていました。
三戸:
急成長期の場所に身を置くって楽しそうですね。
小笹::
ものすごく楽しかったです。
凝縮された3年間でした。
あと、セールスマーケティングというのがちゃんとインパクトを及ぼせるんだなというのも実感した。
営業の後方支援として、売れる仕組みをつくるのを考えるのが、
こんなに面白いんだと感じた3年間でしたね。
ガツガツ営業して広告をとってくる、のとは違うやり方で、
街角のクリーニング屋さんにも使ってみようと思ってもらうために、
どういうふうにGoogleの広告プロダクトを認知させるかとか、
どうすれば効果を認識してもらえるかとか、
営業のパワーとはまた別のところで努力しなきゃいけない部分がいろいろあって、
それを本当に少人数でやっていて。
ものすごく手応えがありました。
三戸:
余談なんですけど、私もまさに同じ時期にテレビ業界にいまして、
その時期って、テレビからどんどんナショナルクライアントが減って
インターネットにうつっていくというのは肌で感じていました。
小笹::
そうですよね。
そこにいくまでは本当に地道な活動をしていました。
ナショナルクライアントには当初全然接点もなかったんですけど、
どうにかルートつくって会いにいったりとか。
Googleに対する“よく分からなさ”を解消しに行くんですよ。
そもそも日本のGoogleには人がいないんじゃないかみたいに思われている節もありましたね。
三戸:
その感覚分かります。
小笹::
ちゃんと人はいて、広告出していただくのにちゃんとサポートもします、
みたいなところから始めて。
三戸:
その後あれよあれよと、誰もが知ってる会社になって。
小笹::
そうなんですよ。
で、3年経ってもうそろそろいいなと思ったんですよね。
大きくなってくるにつれて、私以外の人でもできるという環境になったというのと、
ちょうどその辺りから、初期のGoogleメンバーが辞めていって、
また新しいことを始め出したんです。そういう流れの中で声がかかるようになって、
例えば、新しい会社で営業資料がないから営業資料をつくってくれとか「体勢が整うまでの間、
マーケティング業務をやってくれない?」という話がぽつぽつ来始めて。
それで2009年にGoogleを辞めて、
フリーで外部の会社さんのマーケティング業務のお手伝いなんかを始めました。
三戸:
流しの仕事人みたいでカッコイイですね。

 
写真3

いつの間にかこうなっていた

三戸:
こういうキャリアの流れって、
最初から企図していたんですか?それとも・・・
小笹::
いつの間にかですね。
私ね、本当にキャリアプラン描くの下手なんですよ。
例えばうちのメンバーが楽しく働けているかとか、
将来どうなりたいのかとかそういうのは、
ものすごい考えるんですけど。
こと自分のことになると本当に無計画で。
三戸:
後回しになっちゃうんですね。
小笹::
なるようにしかならないと思っているので、
ただただ、そのときに求められてることを100%の力でやるというスタンスなんですよね。
だから私、「10年後どうなってますか」って聞かれたとしても、
さっぱり分かりませんって感じです。本当に分からない。
三戸:
じゃあ、堅実にプランを描いてたわけではなくて、
その場その場の仕事に骨身を惜しまず向き合っていたらこうなったよと。
小笹::
そうそう。たぶん、リクルートにいたことで、
そのときにできるベストパフォーマンスでいくというのを、染み付けられたということはありますね。
三戸:
やっぱり1年目にどういうところに身を置いたかって相当大事ですよね。
小笹::
良くも悪くも、ものすごく大事だと思います。

 

自分だけの居場所

小笹::
私たぶん、二つの選択肢があるとしたらいつもマイノリティーを選ぶんですよ。
結果的に。意識しているわけではなくても。
皆が選ぶことって、私にとって面白くない。
自分じゃないとできない何かが出来る場所を選んでいるのかもしれない。
三戸:
突き詰めると、取り替えが効かない人間になりたいということなんでしょうか。
小笹::
そうですそうです。
キャリアを踏めば踏むほど、私はゼロイチタイプじゃないなというのをすごく認識して。
リクルートのときは、自分が動けば数字持ってこれるから、
自分で何でもできる気になってたんですけど、Googleに入ったときに、自分はどちらかというと、
人をどう動かすかとか、どうもっとレバレッジ効かせていくかを
考える立場にいる方が活きるということを発見しました。
三戸:
現在の会社への参画につながっている発見な気がします。
小笹::
そうですね。Googleのときに一緒に仕事をしていたのが、
今のうちの社長※3。彼はYouTubeの広告ビジネスの立ち上げをやっていて、
私はそれをマーケティングサイドでずっとサポートをしていたんです。
で、彼が今のビジネスをやりたいというふうになったときに、声をかけてくれて。
彼は完全にゼロイチタイプなので、ビジョンやサービスの今後、会社経営のことに集中してもらいたい。
一方で私はそれを具体的なプロセスに落とし込むことが大好きだから、やるやる!って。
三戸:
ナイスペアですね(笑)

 

イベント業界の可能性

小笹::
そこから始まって開発の今のトップや
創業メンバーを集めて会社をつくりました。
三戸:
錚々たるメンバーですよね。
皆さんそれぞれ自分の専門領域をお持ちで、何やっても成功しそうな人たちだと思うんです。
そのメンバーが揃ってイベントという業務領域を選ばれた。
そこに面白さや可能性みたいなものを見出されたということでしょうか。
photo_oza
※左/イベレジメンバーと(2014年オフィス移転時)      右/イベントレジストのトップページ
 
小笹::
そうですね。やっぱりイベントはすごく面白いなと思っていて。
私もだし、代表も、最初Yahoo!にいてそのあとマイクロソフト行って、
そのあとGoogle行ってみたいな感じで、完全にネットの人なわけですよ。
だけど、ネットでいろんな情報が取れたり、交流できたりしても、
リアルのイベントの価値ってずっとあり続けると思ってるんです。
いろんな出会いとか発見が生まれるこの場は絶対なくならないし、
むしろ増えていく。ソーシャルやネット上での交流が増えれば増えるほど、
価値が高まっていく気がしています。
三戸:
ネットはリアルを侵食しないということですね。
小笹::
インターネットの世界にいればいるほど、リアルの価値って逆に感じます。
やっぱり実際に顔と顔、声と声を合わせてコミュニケーションを取るというのは、
ネットで完全に補完はできないと思います。
三戸:
ネットのスーパープロフェッショナルなスキルをお持ちのみなさんからすると、
イベント業界って、ビジネスチャンスの宝庫なんでしょうね。
小笹::
そうですね。日本は特にBtoBのイベントに関しては、まだまだ改善の余地があるというか。
海外の事例を見ると、もっといろいろ面白いことをしています。
私たちならではの視点って言ったらおこがましいかもしれないですけど、出来ることはたくさんあると思います。
ただやっぱりイベントの業界は歴史が古くて、
その長い歴史の中で培ってきたノウハウや習慣を一気に変化させる難しさがあるのも事実なんですけど、
でも、やっぱりいいタイミングだと思うんですよ、
この時代って。年齢問わずインターネットが当たり前の世界になってきていて。
みんながスマートフォンをもって。
そういう中で、できることって必ずあります。
というか、変わらなきゃいけないんですよね。
イベントの業界自体がもっとテクノロジーを積極的に活用していければいいと思います。
イベントって、本来大切なプランニングとか、コンテンツの充実とか、お客さまのおもてなしとかが、
手前のタスクに追われてつい後回しになってしまう。
そういう部分をテクノロジーで解決して、どんどん効率化して、
お客様にイベントのクリエイティビティにもっと神経を注いでいただければと思っています。

写真6

三戸:
私たちがイベント企画のご提案をするときにイベレジの仕組みをご紹介すると、
どのご担当者さまもすごく喜ばれます。
すごく素敵な舞台技術考えましたよとか、こういうコンテンツ入れましょう、
というご提案よりもむしろ興味を示されることが多いですね。
ただし、ネット環境のこととか、社内の理解という点で導入に至らないことも多い。
いわゆる過渡期なんですよね。
小笹::
そうなんです。時代がもう少し進んで、
イベレジが当たり前に使われるようになったら、
もっともっとイベント自体はリッチになると信じています。
三戸:
いつでも“過渡期の場所”にいるんですね。
小笹::
そうそう。カオスな状態が好きなのかもしれない。
カオスの状態の中であれこれ試行錯誤してお客さんが喜んでくださって、
それによって、最終的に私たちも含めて関わっている人
すべてが幸せになるという世界を夢想しています。
むしろ妄想かな(笑)
三戸:
妄想力大事ですよね。
小笹::
妄想はむっちゃ大事ですね。

 

自ら尻に火をつける

三戸:
ビジネスとプライベート、分けるタイプですか。
小笹::
分けません。もう仕事が大好きで。
仕事が大好きでというか、仕事を仕事だと思ってない。
三戸:
なるほど。
じゃあ、こういうリフレッシュがないと私は仕事できないみたいなことは?
小笹::
私、散歩してればいいんです。
ちょっと煮詰まっても、街を歩いてるだけですっきりする。
そうするとおしゃれにしてもお店にしても、
新しいものが目に入ってきて、焦ることができるんですよね。
三戸:
むしろ焦りたいんですね。
小笹::
そう。自分のお尻に火を付けたい。
三戸:
ストイックですね。
小笹::
めっちゃストイックだと思いますね。
特にネットの仕事だから、パソコン1台あればどこでもできるわけですよ。
なので、寝るのとお風呂入るとき以外は、ずっと仕事してますね。
土日も関係ない。むしろ不安、仕事してないと。
私が休んでる間に、何かほかのことが起きるんじゃないか、
世の中が進んじゃうんじゃないか、見逃しちゃうんじゃないか、みたいな。

 

自分の仕事を定義しない

三戸:
小笹さんの仕事観ってちょっと不思議ですね。
小笹::
うーん…私、明確に自分の仕事を定義するのが嫌なんです。
で、浮いちゃってる仕事を拾ってくるのが私の仕事だなと思ってる。
そこにこそ、私の存在価値があると思っています。
小笹さんがいないと困るという状態を自分であえてつくっている、ということですね。
決まった仕事を与えられるのってたぶん面白くなくて、
せっかくその人がその会社にいるのであれば、
その人だからこそできる仕事のしなやかさみたいなものを、
私はすごく大事に思っています。そうすれば、
自分の可能性を限定しなくてすむんですよね。
三戸:
なおかつ仕事が嫌いじゃないんであれば、
もう素晴らしい状況ですよね。
小笹::
これ私がやる仕事だったっけ?って思いながら、
取りあえず手を付けてみるんですけど、やってみたらものすごい面白かったとかって絶対あるわけじゃないですか。
やったことなかったけど、これ私ものすごく上手にできちゃってるよ!
というような発見って、いくつになってもワクワクしますよね。
私、この会社ではCOOという立場なので、あらゆることをやるんですよ。
営業もやるしマーケもやるし、会計人事総務なんでも。
そのときそのときで、自分が何にでもなれるという感じが、ものすごく好き。
20代のときはスペシャリストになりたい、ってみんな思うでしょ。
三戸:
思いがちですね。
小笹::
でも、私スペシャリストじゃなくてよくて、
ゼネラリストでいればいいと思うんですね。
時と場合に応じてどんなスペシャリストにもなれるゼネラリストでいられれば。

 

“自分が規定する自分”は意味がない

三戸:
若い世代の人たちに常に言っていることってありますか?
小笹::
プライドは全部捨てる!特に一年目は。
いったん“自分が思っている自分”を捨てる。
そのほうが、明らかに成長すると思います。
自分が思っている自分より、他人が見ている自分のほうが正しいと思っています。
三戸:
同感です。それって自らの後悔とともに思うことですよね。
あのときどうしてもっと真っさらになれなかったんだろう、カッコつけちゃったんだろう、とか。
小笹::
本当に後になって振り返ったときにしか分からない部分でもありますね。
三戸:
確かに。
私も小笹さんと同じで今年40歳ですけれど、
本日お話をうかがって、改めてまっさらな気持ちになってもうひと頑張りしてみよう!と思いました。ありがとうございました。
(終)

 
※1 イベントレジスト株式会社
リアルイベントの告知・事前集金(決済)・参加者管理などすべての効率を飛躍的に向上させるイベントプラットフォームを運営。
2011年立ち上げ。http://eventregist.jp.com
※2 Google AdWords
Googleが提供する、広告サービス。Googleの検索結果のほか、Googleと提携したさまざまなウェブサイトやブログなどに広告が掲載される。

※3 社長
ヒラヤマコウスケ(代表取締役/CEO)。米国でベンチャー企業を立ち上げ、副代表を務めたあと帰国。2000年にYahoo!Japanに入社。Y!ショッピングのプロデューサーとしてY!ブックスのサービスなどの立ち上げを行う。2001年よりマイクロソフトでリッチメディア広告部門の立ち上げ、2007年からはGoogleでニューメディア -ストラテジー/オペレーションチームマネージャーとしてYouTubeの広告部門の立ち上げを担当。その後2009年にTBS関連会社goomo株式会社の設立に参画しWEBプロデューサーおよびTV番組プロデューサーとしてもメディアの枠を超えた新しい領域を活用したプロモーションを手掛け2011年イベレジ創業に参画。

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