GP JOURNAL

㈱レイ 相談役 分部日出男「“豊穣”こそが創造を生むということ」

ChatGPTで要約する

“GP TECH” generating now…

こちらの要約文はAIによって生成されたものであり、情報の正確性を保証するものではありません。

創業の契機

分部:
私の実弟(現・社長)が早稲田大学在学中にディスプレイ研究会というのを立ち上げまして、私は面白そうだと思ってお金の支援をしていたんです。
それはどんなものかというと、ホログラフィとかレーザーディスプレイを研究する会で、それがスタートなんですね。

三戸:
大学を出られてからですか?

分部:
そう、卒業してバイトしながら。バイトというか、浜松のプロパンガスの問屋に住み込みで働きながらですね。
実家がガス屋だったものですから・・・
家を継ぐということもちょっと考えていて。

三戸:
なるほど。

分部:
弟の研究会が忙しくなったタイミングで上京して、一緒に創業したというわけです。

三戸:
創業の時点で、ある程度ビジネスとして軌道に乗りそうだという、
いわば約束された状況だったんでしょうか。

分部:
そうですね、既に雑誌に取り上げられたりはしていました。
例えば新宿の地下街で展示会をやったりね。
そのタイミングでセンタービルのオープンイベントの仕事を依頼されて、そこでちょっとレーザーを使用したんです。それがきっかけで仕事が来始めるようになりました。
ホログラフィに関しては、ずっと実験や研究を重ねてきて、立体映像の大きな看板をつくろうと思っていたんですよ。
そうしたら全然駄目でね、小さいのしかできない。
本当は、ホログラフィを利用した新しいベンチャーを始めようじゃないかと思ってたんだけど。
でも、レーザーが手元に残っていたんですよね。
そのころ、ライブなんかでレーザーを使った大掛かりな演出がやられ始めていて、じゃあ、うちもそっちのほうに路線を変更しようという話になって、それでレーザーをやり始めたところにコンサートやイベントの話が舞い込むようになってイベント業界の仕事をすることになったんです。

1981年、このアパートの2階奥の部屋でRayは創業。今や売上100億円規模の会社となった。

三戸:
もともと狙っていた分野ではないところで・・・。

分部:
はい。だいたいビジネスをやっていると、
当初狙っていたところとは違うところが主軸になったりするんだよね。案外そういうもんですよ。

三戸:
面白いですね。

“みんなで”成長する

分部:
そうしたらね、もう既に先行している会社が何社かあったんです。
そういう人たちとも親しくなって、機材の貸し借りもあったし、技術も教えてもらったりしましたね。

三戸:
敵対するライバルというイメージではないんですね。

分部:
違うんです。当時は機材がものすごく高くて少なかったのね。
だからみんな敵対するどころか、お互いに貸し借りをしないと回らなかったの。
仕事の需要はそこそこあったので、戦うよりも協力し合った。

三戸:
日本的ですね。

分部:
本当に。これこそ日本の良さ。
ランダムエレクトロニクスデザインという会社の初代社長の矢崎さんという人が
そういうことに対してすごく優れていた人で、すべてオープンにして、フォーマットを全部共通化したんです。
結果、機材の貸し借りもより容易になって、効率的になりました。
こういうことって意外と大事なんですよ。

三戸:
みんなで業界を成長させていこうということですね。

分部:
コンシューマー相手のビジネスだとそうもいかないかもしれませんが、我々みたいな小さな業界は、今も結構、仲がいいですよ。

三戸:
分部さんは、コンベンション事業協会にも関わられていますよね。
業界全体の底上げを非常に大事に考えられているんですね。

分部:
本当にそのとおりでね。一人勝ちして業界でトップになるんだみたい考え方は、もちろん経営者にとって当然だと思うんだけれど、あんまり豊穣じゃなくなるよね。
僕らソフトの世界に生きている者にとって豊穣な状態というのはすごく大事なことでね。
豊穣な基盤があると、豊穣な考え方が生まれる。
やっぱり一人勝ちというのは、いいように見えて結果的に面白くないし、それからコスト的にもあんまりペイしないような気がするね。

三戸:
私、実は、今日お話を聞くにあたって、トップランナーであられることについて伺おうと思っていたんです。
どうやってこの地位を築かれたんですか、というような。
でも、そもそも、そこに重きを置かれていないということですよね。

分部:
自分たちも一生懸命やっているけれども、ほかの会社も一生懸命やっていますよね。
いろんな会社のスタイルがあっていいという感じがするんですよ。
わがままな社長がいたり、人と会うのが嫌な社長がいたり、
それから人をガンガン引き付けるカリスマみたいな社長がいたり、というのが面白いじゃないですか。
いろんな会社がそれぞれの分野でそれぞれに頑張ると、ちょっとずつずれが出るじゃないですか。
その、ずれの幅がどんどん広がっていって、どこかですごい大きな波が来たときでも、まだ生き延びている部分を残せて、そうすると少しの軌道修正でそちらに移れるかもしれないし、仮につぶれちゃう会社があっても、そちらで人を吸収することもできる。
みんなで生き延びましょうよ、ということですね。

成熟社会の証としてのMICE

三戸:
MICE市場は今後どうでしょう。

分部:
MICEというのは何かというと、企業活動そのものとは違いますよね。
あるボリュームの中から生まれた、一種の・・・調整みたいなもの。
例えば国際会議なんかでもいろんな主義主張があって、いろんな国の権益があって、それをみんなで集まってうまく調整するというのがMICEなんです。
例えば「このまま行くと地球が危ないぞ」みたいな話ね。
そうすると、「よし。じゃあこれ以上煙を出さないようにしよう」という手段を編み出したりする。
世界が一つになっていけばなっていくほど、権益の調整みたいなものがすごく大事になってきます。
戦争とは違った方法で問題を解決するんですよね。
成熟社会では当然MICEは広がります。当たり前だよね。

三戸:
これからもっと広がっていく。

分部:
アジア全体では、すでに広がっていますよ。

三戸:
そうですね。中国とかシンガポール、韓国では国家的戦略として力を入れてたりもしますものね。

分部:
日本はザワザワザワザワしながら進むタイプの国だからちょっと遅れるんだけど。
でも平成20年ぐらいから、徐々にそっちのほうにかじを切っていますね。
我々もアジアの中の先進国、世界的にも比較的先進国なんで、本当はもうちょっと頑張りたいところですね。

やっぱり人は顔を突き合わせて話をしたい

分部:
やっぱり、結局人はface to faceですよね。
そして更にその価値が強くなってくると思いますね。

三戸:
世界がどんどん狭くなっていますしね。

分部:
そうです。うちの会社の人間もそうだけど、みんな気軽にアメリカやヨーロッパやアジアに行っているわけだから。
そうすると、もう格段に交流人口のボリュームが増えますよね。
当然、裏を返せばリスクも高まったわけだけど、でもそういうリスクというのはやっぱり、交流を密にして直接話をすることによって解消されていくと思いますね。

三戸:
非体験、非対面型のコミュニケーションツールがどんどん発達している一方で、
facetofaceのコミュニケーションの重要さがより認知されるという世の中って、
面白いなって思います。

分部:
やっぱり、そこが人間なんでしょうね。
電話でも話せるし、テレビ会議システムなんて、もうほとんどディレイもないし、それから音も変にならない。
ところがやっぱり実際に会って、飲みニケーションも含めて交流というのがやっぱり大事なんでしょうね。

三戸:
そうですね。なくならない。

分部:
それこそイベントや、各種催事、コンベンションはface to faceコミュニケーションの非常に重要なきっかけになるんですよね。
展示会なんかでも、インターネットで情報を仕入れるのと、実際にそこに行って触ったりしゃべったりすることは格段に情報量が違うんじゃないかなと思うんですよ。
リアリティを持てるんです。
将来的にはバーチャルとリアルの境目が本当になくなるのかもしれないけど、今のところは人間はリアルなものに入り込むしかないんじゃないですかね。

イベントに関わる意義

分部:
イベント業界の人は、自分たちが大事な役割を担っているという認識が弱い感じがするんだよね。
結構、重たいことをやっているんだなという理解すべきです。

三戸:
なるほど。

三戸:
国際会議を例に挙げれば、いろんな利権の調整などの裏方じゃないですか。
裏方というのは、言われたとおりに、はいはいとやっていればいいというもんじゃなくてね。
そのことの意義をちゃんと理解してやると、まったく違う視点が持てるわけです。大事なことです。
これはいわゆるファンイベントもそうですよ。
この間のラブライブという、とてつもないイベントがあって、僕もライブビューイングで見たんですけどね。
すごいんですね、動員とかね。
でもこういうことに裏方として関わるということは、相当いろんなリスクも管理しなくてはいけないし、ファンを心地よくさせることも必要で。高度な経験値による大事なスキルですよね。

三戸:
本当ですね。

分部:
だから、われわれって案外責任が重くて、かつ高度なことをやっていると自己認識するべきですね。
これを言うと、自分の会社がそこまで行っているかなと思って不安になりますけどね、正直言って。

三戸:
今うかがったお話って、イベントに関わる者たちが、心身ともに高度なプロフェッショナリズムを身に付けておくべきだということだと思うんですけども、それはどうやって身に付けるべきものなんでしょう。

分部:
そういう意味ではいろんなやつがいますよね。
自分で勉強してどんどんそういう感覚を身に付けていくのもいるし、面白けりゃあいいじゃん、というのもいる。
ただ、みんなが自分に自信を持って、そういう高い視点を常に意識するということが大事だと思う。
そうすれば、面白ければいいじゃんというやつだって、そういうやつはそういうやつでちゃんと役割があるから。
本当に面白いことをいっぱい発見したりつくったりするじゃないですか。
できるだけ広い視点で、いろんなやつがいろんなふうに考えていられる仕組みを死守することは大事だよね。

新しモノ好き集団

三戸:
ガラッとお話を変えて、RayExpoについて伺いたいんですが。

分部:
先日のRayExpoは社長のビジョンに基づいて、
社長が自ら企画したものだから、私はまったく口を出していません。
ただ、RayExpoをやるということに対して、僕はすごく強く賛同してて、
それはもう素晴らしいことだから、ぜひやってほしいと思っていたし、よくあそこまでやれたなと思いました。
みんな忙しい中で仕事をやりつつよくあそこまで仕上げたなと思いましたね。
すごく最先端の技術があるようにも見えるし、それっぽく見せているだけのものもあるんですけれども(笑)
ただ、そういうものを自分たちの日常の業務に取り入れる空気感を忘れないでいようということなんですよ。
Rayって、新しもの好きというふうに昔から見られてきて、みんな実際、新しもの好きで、ホログラフィー、レーザーもそうでしたけど、映像も最初からデジタル映像で、フィルムをまったく知らないんですよ。

三戸:
すごい。

分部:
ずっとそうあり続けてきた、その遺伝子みたいなものを残していかないと、
ルーティンの中で凝り固まってくる部分はあるじゃないですか。
僕も老けたけどみんなも老けてきて平均年齢も上がっている中で、ヤバイなという思いがRayExpoにつながってるかもしれませんね。

RayExpoの開催風景。最先端の映像技術を様々な形で展示し、業界の話題となった。(2016.1.20~22)

三戸:
先ほど、「新しもの好きの人たちで」とおっしゃっていました。
何においても、最初に何か物事を始めるときに、それに関わる人や事象が新しいのは当たり前ですけど、常に新しくい続けるということは非常に難しいことなんだと思うんです。

分部:
それは、一種の豊穣さを許容するカルチャー次第ですね。
本音をいうと自分自身にそれが出来ているのかというつらい部分でもあるんですが、会社をきちんとやっていきつつ、わがままでも面白い連中を許容する整合性をどうとれるかですよ。
もっとずっと小さい集団だったらいいですけども、ある規模になってくると、無茶ばかりを許しているわけにはいかない。
これはね、どっちがよかったのか、今でも分からない。
やっぱりある規模に抑えていて、少数精鋭で面白さを追求するやり方も確かにありました。
でも、ある程度の規模がないと、大きな投資とか大きな仕掛けもできないじゃないですか。
でも、そうなると今度は食うために回転させなきゃいけないでしょう。

三戸:
そうですよね。

分部:
このジレンマというのはずっとこの30何年続いてきたね。
だけど、僕は欲が深かったので、両方ともやれるんじゃないという気持ちでいて、なんとか生き延びました。

三戸:
危ないときの乗り越え方は…。

分部:
運です。撤退は簡単なんですよ。
撤退というのは、もう理論なんですね。
答えは簡単なんです。ただ、誰もそれをできないんだね。
例えば30人が多ければ20人にせざるを得ないんです。
これはもう答えが出るんです。
でもそれをやるか、やらないか。
僕は運よく神風が吹いて助かったというだけですね。

三戸:
決断力の話ですね。

分部:
一番弱いやつから放り出していくということだよね。

三戸:
でも、それが最適解なんですよね。

分部:
そうです。それ以外の解はないんですよ。

三戸:
でも、それを実行できる経営者のほうが少ないということですね。

分部:
全員を救ったら全員が沈むということなんですね。
だからもちろん、そういう状況なっちゃいけないんですよ絶対に。
だけど非常に大きな事故が起きてしまったとか、非常に大きな不況が来たとか。
そうしたときはやっぱり、ほかの方法はないんですね。
これは経営をやる者の宿命ですよ。
で、寂しく、みんなに嫌われて死ぬんですよ。仕方がないんです。

三戸:
何が優しさか、ということですよね。
いいよいいよって言っていることが優しさではないですものね。

潮目は常に変わる

三戸:
業界が成熟するにつれて、いろんなことがやり尽されて新しいことをやれる
余地がなくなるという考え方がありますよね。

分部:
昔の新しいことは、今は別に新しくも何ともないじゃないですね。
例えばレーザー光線って、最初に見たときはみんな驚いたもんなんですよ。
田無で友だちの工場を借りて実験していたら、パトカーは来るわ、近所からいろいろな人が集まってくるわで大変だったんですね。
最初に見ると新鮮で新しいでしょう。光を出しさえすれば新しかった。
あのときはピークでは30社近くレーザーの会社があって、
でもどんどん飽きられて廃れていくわけです。
でも今、レーザーはまたすごく復活していて、それは何かというと技術的な革新が起きて、装置がすごく小さくなったんです。そしてすごく安くなって。
そうすると今、20台ぐらい使ったりすることって、別に珍しくなくなっちゃった。
すると演出の仕方が変わってくるわけです。それから例えばYouTube。
チープな映像だろうが、内容次第では数万、いや数百万の人に見られたりする。
きちんとした機材できちんとしたカメラマンが撮って、とは全くちがう形の映像媒体になって、すっかりCM出稿も当たり前になりました。

三戸:
今はもうYouTubeの存在自体が
一つのプロモーションツールみたいになっていますね。

分部:
だから結局ね、そういうものなんですよ。
何て言うか・・・、何かが行き詰まってくると次に別の道ができてくる。

三戸:
新しい時代。

分部:
そうそう。新しい感覚を持っているやつが勝つんですよね。
破壊を試みないといけない。いわゆるエンターテインメントの業界にいるのであれば。
今までやってきたことだけに固執していてもいいものは生まれませんよね。

三戸:
常に潮目は変わるし、常に新しいチャレンジングなタイミングは来るということですよね。

分部:
もう37年ぐらいこの業界にいるけれど、潮目、変わってますよ、何度も。本当に。

志を高く持つ

三戸:
最後に、イベント業界を志したいと思っていたり、今イベント業界の飛び込んだばかり、というような人たちに向けてメッセージをお願いします。

分部:
僕らのフィールドって、言ってみれば、おまけの産業とも言えますよね。

三戸:
そうですね。人の生死に関わるわけじゃない。

分部:
だけど僕は、なぜそんなに自負があるかというと、やっぱり人間って、食うだけじゃないだろう、みたい感覚があって、やっぱりそれってすごく大事だと思っているんです。
精神活動に対する一つの演出とか、何か仕掛けをつくって高揚させてあげるとか、難しい会議でいい環境をつくってあげるとかね。

三戸:
生死に関わらないことでも、というか、だからこそ、そこに意味があるじゃないかということですね。

分部:
21世紀って、やっぱり心の時代だと思う。
つまり20世紀に入ってみんな豊かになって、基本的には何でも手に入って、物質的には十分恵まれた。
そんな中で僕はかなり幸せです。「だからこその不幸せ」について語る人もいるけど、ちょっとそれはひねすぎだろうと思うからね。
だけど、さらに求めるものが人にはあるんだろうと思う。
だからやっぱり、顔を合わせたくなって、わざわざ高いお金を使って遠くまで足を運んだりするわけでしょう。
そういうことも含めて、人間の営みだろうなと思うから、みんな志を高く持って、われわれはすごく大事な仕事をしているんだという意識をもって頑張ってほしいなと思っています。

三戸:
ありがとうございました。
(終)

INTERVIEWインタビュー

公開日:

2016JUN

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