下北沢の街を舞台に。“歩く演劇”『猫町』が話題

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サウンドイマーシブシアター『猫町』イメージビジュアル
Photo:株式会社on the tripより引用

イヤホンをつけて歩く下北沢。ふと聞こえる声に導かれると、見慣れたはずの街が少し違って見える。そんな不思議な体験ができるのが、サウンドイマーシブシアター「猫町」です。「ムーンアートナイト下北沢2025」の一企画として上演され話題を呼んだこのアートプロジェクトは、連日チケットが完売するほどの人気ぶり。一体どんな演目なのかを、今回は一緒にチェックしていきましょう。

「ムーンアートナイト下北沢 2025」とは?

「猫町」が上演されたのは、東京・下北沢の街全体を舞台にしたアートフェス「ムーンアートナイト下北沢2025」。“月”をテーマに、現代アート・音楽・食・映像などが街中で展開される地域参加型のアートプロジェクトです。

9月19日(金)〜10月5日(日)にかけて開催された本イベント、昨年は約40万人を動員し下北沢の秋の風物詩として今やすっかり定着している人気のイベントです。今年はさらにスケールアップし、街角のギャラリーやカフェ、線路沿いの広場など至る所でアートが街を彩りました。

大注目を浴びたサウンドイマーシブシアター「猫町」

様々な人気コンテンツがある中で、特に今年注目を集めたのが「猫町」です。この作品は、クリエイティブユニット daisydozeと音声ガイド制作チーム ON THE TRIP が手を組んで制作した新作イマーシブシアターだったんですね。

観客はイヤホンを通して詩人の声に導かれながら下北沢の街を歩き、現実の音と物語の世界が重なっていくサウンドイマーシブ体験を楽しむというもの。舞台は下北沢という街そのもので照明もセットもない代わりに、下北沢の空気、匂い、人のざわめきがそのまま演出に変わります。

「猫町」の体験内容

作品のモチーフになっているのは、詩人・萩原朔太郎 の幻想小説「猫町」です。街の裏側にある「もうひとつの世界」へ迷い込む詩人の物語をベースに、下北沢というリアルな街を“異世界”として再構築した本作の特徴を3つご紹介します。

声に導かれて歩く下北沢という新体験

サウンドイマーシブシアター『猫町』イメージビジュアル
Photo:株式会社on the tripより引用

物語は「下北沢には、猫に憑かれた不思議な町がある」という一文からスタート。イヤホンをつけた参加者は、語り手=詩人の声に導かれて出発します。駅前広場から線路沿いを歩き、路地を抜け、商店街を横切り世田谷代田駅方面へ。

足元のアスファルトを踏む音、カフェから漏れるBGM、遠くの電車の走行音。そんな日常の音が、物語の世界と自然にシンクロしていく。この現実と物語の“重なり”こそが、この体験の面白さです。

街中に現れるパフォーマンス

街を歩いていると突然現れるパフォーマーたちも本作の見どころの1つ。セリフを発するわけではなく、身体の動きやしぐさで詩人の心情を表現する彼らの、すれ違うときの一瞬の視線や、衣擦れの音までが演出の一部のようで、観ているというより「その場にいる」ような没入感が魅力的。

下北沢の日常的な風景。雑多な看板、レトロなビル、夜風。そうしたものが、いつのまにか作品の一部として見えてくるのが不思議です。

音と風景が重なる臨場感

サウンドイマーシブシアター『猫町』イメージビジュアル
Photo:株式会社on the tripより引用

自然に混ざり合うイヤホンから流れる音声と、実際に聞こえる街の音。信号の音や通り過ぎる自転車のベルさえ、まるで演出された効果音のよう。リアルとフィクションの境界があいまいになっていく感じが深い没入感を与え、日常が突然非日常へ変わっていくのです。

daisydoze × ON THE TRIP が描く“新しい没入体験”

サウンドイマーシブシアター『猫町』イメージビジュアル
Photo:株式会社on the tripより引用

「猫町」を手がけた daisydoze は、日本独自のイマーシブシアターを創るクリエイティブユニットです。実在する土地を活用し、その場所の歴史や記憶を物語に取り込むスタイルが特徴で、演劇・ダンス・歌を横断し、国内外のメディアでも注目を集めています。

一方の ON THE TRIPは、神社仏閣や美術館などの音声ガイドを数多く手がけるチーム。その土地の物語を丁寧に掘り起こし、まるで映画や小説のような音声体験を届けています。そんな2組が生み出した「猫町」は、「街を歩く」という行為をアートに変え、日常をそっと非日常へと導く、そんな特別な体験でした。

終わりに

音と風景、現実とフィクション。そのすべてが溶け合う、まったく新しい体験型コンテンツ「猫町」。下北沢という街が持つ自由な空気とアートが重なり合って生まれるのは、日常の中に垣間見える非日常。来年の「ムーンアートナイト下北沢」では、いったいどんな物語が生まれるのか、今から楽しみでなりません。それではまた。 

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最終更新日:

WRITER

宮永 麻代

取締役/CMO/エグゼクティブプロデューサー

気づけばイベントプロデューサー歴15年以上、、!表彰式、インセンティブトリップ、キックオフ系案件が特に多いです。
イベントプロデュース業のほか自社のWEB、広報等のマーケティングまわりのほか社内業務改善のDXを推進。

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GLOBAL PRODUCE Co., Ltd.株式会社グローバルプロデュース

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