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メタバースを活用した企業イベントの事例や実施方法について解説!

今、急速に注目を集め、様々な活用法が模索されているのが『メタバース』です。現在はまだ黎明期ではありますが、2022年の流行語大賞にノミネートされたり、facebookが会社名をMetaに変更したりと、今後の私たちの生活にとって大きな位置を占めるようになる可能性をひしひしと感じます。

また、メタバースのビジネス活用を考える企業も増加傾向にあります。弊社が2022年に実施した市場調査では、すでに4割以上の会社がメタバースを活用した社内イベントを開催しているという結果が出ています。

株式会社グローバルプロデュース メタバースでの社内イベントへの関心に関する実態調査
株式会社グローバルプロデュース メタバースでの社内イベントへの関心に関する実態調査

社内向け、一般向け問わず、これからの企業イベントに欠かせない存在となっていくだろうメタバース。今回は企業イベントとメタバースについて改めてお伝えしていきます!

メタバースとは?

メタバースの意味

そもそも、『メタバース』とはいったい何を指すのでしょうか?メタバースは『コンピューター内に作られた架空の3次元空間』と『そこで提供されるサービス』を指す言葉です。この言葉の元ネタは1992年、アメリカのSF作家であるニール・スティーヴンスンが自作の小説内で登場させた架空空間の名前だと言われており、現在も大まかな意味は変わっていません。

身近なメタバースの例

……などと説明されても、具体的な例がないとわかりにくいですよね。身近な例だと、ゲームの『どうぶつの森』シリーズや『フォートナイト』『FF14』『マインクラフト』などがメタバースの事例として挙げられます。『顔や衣装を選んで作ったキャラクターを動かし、コンピューターが作り出した空間内を動き回ったり会話したりする』と考えると、何となくイメージできるでしょうか。

VRとはどう違うの?

メタバースとVRはセットで語られることが多く、混同されるケースもあるのですが、このふたつは明確に異なります。メタバースとは前述の通り『自分が作ったキャラクターを仮想空間内で動かす』ことを指し、VRは『専用の機械(デバイス)を使うことにより、視覚や触覚をキャラクターの動きに連動させること』を指します。メタバースとVRの組み合わせの可能性は無限大ですが、前述のゲームのようにVR不要のメタバースはたくさんありますし、VRにはメタバースを使わないサービスもたくさんあります。少なくとも「VRの設備がないからメタバースイベントができない……」なんてことはありませんので安心してくださいね!

メタバースイベントの特徴

メタバースイベントはオンラインイベントの一種ですが、従来のオンラインイベントと大きく異なる点が一つあります。それは『自由度の高さ』。従来のオンラインイベントは参加者全員が同じ映像を見る形式が中心でしたが、メタバースイベントの場合、参加者は自由に動かせるアバター(キャラクター)を持ち、会場内を散策することができます。これにより、参加者が積極的にイベントに関わるようになるため、訴求力が増します。また、主催側もセミナールームや商談ルーム、展示ルームなどを設定することができ、いくつものコンテンツを同時並行させることができます。主催も参加者もリアルイベントのように立ち回ることができる。それが従来のオンラインイベントとは異なるメタバースイベントならではの特徴と言えるでしょう。

 

メタバースイベント実施のメリット

それでは、メタバースイベントにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ひとつずつ見ていきましょう。

場所を選ばない

メタバースイベントのメリットとしてまず挙げられるのが『場所を選ばない』ということです。メタバースにアクセスできる環境が整っていれば、参加者は世界のどこにいてもイベントに参加することができます。これ自体はオンラインイベントに共通のメリットですが、メタバースが特徴的なのは『主催側のやりたいことに合わせ、イベント会場を思う存分拡張できる』という点。会場の広さが事実上無限大のため、リアルイベントで会場の広さとの兼ね合いで削らざるを得なかったコンテンツも思う存分盛り込むことができます。また、導線の心配等もないため、主催側・参加者側共に快適なイベント参加が可能になるのです。

参加者同士のコミュニケーションが取りやすい

従来のオンラインイベントでは参加者全員が一画面に集められることが多く、少人数で自由に会話するのが難しい状況でした。しかし、メタバースの場合は参加者がバラバラに動くことができるため、リアルイベントのように少人数が会場内でちょっと集まってコミュニケーションを取ることができます。また、使用するシステムにもよりますが、アバター越しでの会話になるため、実際に顔を見ながら会話するよりもコミュニケーションしやすくなるのもポイントです。

環境にやさしい

メタバースイベントはインターネット上で全てが完結するため、パンフレットやノベルティはもちろん、会場装飾系のゴミも削減できます。さらに、照明等の機材も使用しないため、各種機材を運搬する際に発生する排気ガスなども削減でき、環境負荷を下げることができます。SDGsが叫ばれる中、『ゴミ削減』『環境負荷を軽減』を実現するサステナブルなイベントを開催することができるのです。

メタバースイベント実施のデメリット

上記のようにメリットの多いメタバースイベントですが、当然ながらデメリットもあります。次はデメリットを見ていきましょう。

インターネット回線環境により一層の注意が必要

オンラインイベントとは切っても切れないインターネット回線環境ですが、メタバースの場合はより一層の注意が必要です。というのも、メタバースイベントは仕様上、会場を用意する時点で他のオンラインイベントよりかなり回線負荷がかかります。さらに、参加者一人一人が回線に与える負荷も他のオンラインイベントより大きいため、従来のオンラインイベントと同様に考えているとあっという間にパンクしてしまうのです。

リアルイベントに比べて離脱率が高い

オンラインイベントのデメリットとして挙げられるもののひとつが『離脱率の高さ』ですが、メタバースも例外ではありません。ワンクリック、ワンタップで画面を閉じることができる他、回線トラブルなどで落ちてしまう可能性もあります。これを防ぐためには飽きさせないイベント内容はもちろん、エラーが出ない安定した仕組みづくりや回線の強化など、運営においても様々な工夫が必要です。

使用するデバイス等によっては参加ハードルが高くなる

メタバースイベントはオンラインイベントの新しい形式であり、できることも多いのですが、その一方でマシンスペックや参加者のリテラシー等、参加ハードルが高くなってしまうというデメリットがあります。例えば、VRを使用する本格メタバースイベントの場合、参加者側がVR機器やVR機器が十分に動く高機能のパソコンを準備する必要があります。また、パソコンやアプリ、デバイスの操作に慣れていない人が参加者にいた場合、参加する方法に戸惑ってしまう可能性もあります。この点は技術の進化やVR機器等の普及によって解決していく可能性が高いですが、現段階ではデメリットに数えられるといえるでしょう。

メタバースイベントの可能性

メタバースイベントは社内イベントに限らず、展示会やコンベンション、ファッションショー、フェスやコンサート等、ありとあらゆるイベントが開催できます。『参加者が自分のアバターを動かし、能動的にイベントに参加する』という形式のため、商談やディスカッション、交流会との相性も◎。さらに、プラットフォームによっては仮想通貨を使用した商取引も可能です。まさに『インターネット上でリアルイベントを行う』という難題を解決できる可能性を秘めているのがメタバースイベントなのです。

メタバースイベントの活用事例

メタバースは現在、エンターテイメント・ゲーム方面で主に活用されているイメージが強いですが、すでに様々なイベントのメタバースバージョンともいうべきイベントが実施されています。ここではそんなメタバースイベントの事例をご紹介しましょう。

PwCコンサルティングによるメタバース実証実験

メタバースのビジネス活用の可能性を探るため、2022年6月にPwCコンサルティングが3日間にわたって開催した参加型のメタバースイベントの実証実験イベントです。使用プラットフォームはメタバースの中でも知名度が高いClusterとVRChatを使用。イベント内ではセミナー系セッションはもちろん、芸人を交えてのパフォーマンスなど、現状のメタバースで使用が見込まれそうなコンテンツを多数用意。さらに、このイベントのためにVRゴーグルを3000台用意した他、パソコンやスマートフォンからの参加も可能にし、参加形態による感じ方の違いなども検証しています。

東京ガールズコレクション2022(VIRTUAL TGC)

10代女子向けファッションショーの中でも抜群の人気を誇る『東京ガールズコレクション』が2022年8月~2023年2月まで開催しているメタバース空間内でのファッションイベント。専用スマホアプリから入ることができ、自分好みのアバターを作って会場内を歩き回ることができる他、ゲームに参加することで着替えアイテムが手に入ったり、会場内のランウェイを歩けたり、友人とテキストチャットで会話したりと、メタバース上で東京ガールズコレクションを楽しむことができます。また、アプリ内での生配信イベントなども開催されています。

バーチャル渋谷ハロウィンフェス2022

黎明期からメタバースイベントに積極的に取り組んでいたイベントといえばこちら『バーチャル渋谷ハロウィンフェス』。Clusterというメタバースプラットフォーム内にリアルな渋谷をそのまま再現し、様々なアーティストがライブを行ったり、貞子コラボ等のハロウィンならではのコンテンツが楽しめるようになっています。渋谷区もこのプロジェクトの後援に入っており、メタバースが浸透した未来をもっとも感じられるイベントと言えるでしょう。

日産ショールーム(NISSAN CROSSING)

メタバース上の常設展示として有名なのが、ソーシャルVRサービス(メタバース)の『VRChat』内で公開されているNISSANのバーチャルギャラリー『NISSAN CROSSING』です。日産が銀座で運営している『NISSAN CROSSING』をそのままメタバース上で再現し、日産アリアなどの車を展示しています。VRChatの利用者であれば誰でも立ち寄ることができる、まさにメタバース上のショールーム。今後は新車発表会や展示会、セミナーや講演会などのコンテンツも開催予定とのことです。

メタバースイベントのプラットフォーム

では、具体的にメタバースイベントを実施するにはどのような方法を取ればよいのでしょうか?

メタバースイベントを実施する場合、まず必要となるのが会場。もちろんリアルではなく、インターネット上の会場です。これは主催が0から用意するのではなく、メタバースイベントのプラットフォームを手掛けている企業に依頼するのが確実です。企業によってエンターテイメント向け、商談向け、社内イベント向け等々、様々な種類があります。何社かご紹介しましょう。

Cluster

Clusterは上記事例『バーチャル渋谷ハロウィンフェス』の開催地でもあるメタバースプラットフォームです。横浜DeNAのバーチャルハマスタ等も手掛けており、メタバースプラットフォームの中でも非常に知名度が高いのが特徴。アプリを入れることでスマートフォンでもパソコンでも利用可能で、一般参加者の入室が可能な大規模なイベントから参加者限定の小規模セミナーまで様々なメタバースイベント開催事例があります。また、エンターテイメント方面の案件を多く手掛けてきたということもあり、仮想空間のカスタマイズの幅が広く、様々なデザインが可能なのも強みです。

めちゃイベント

めちゃイベントはメタバースを使用した社内イベントツールです。社内イベントに特化しており、専用のURLをクリックするだけでメタバースイベントに参加できる手軽さ、数千人が同時参加可能な安定性が特徴です。また、社内イベントなどの特別なタイミングだけでなく、ミーティングやテレワーク等のバーチャルオフィスツールとして使用することも可能です。

V-expo

V-expoはパソコンやスマホのブラウザから使えるメタバースイベントのレンタルスペースです。セミナーから展示会場、ライブ、商談系イベントまで、用途によって様々なタイプ、機能、デザインを持ったレンタルスペースが用意されています。目的に合わせて会場を選ぶことができるため、開催時にメタバース構築の知識等が不要なのが大きな特徴。もちろん、必要に応じてカスタマイズも可能です。

まとめ

オンラインイベントでありつつ、参加者一人一人がアバターを動かすことで『自ら参加している』という実感、臨場感を味わうことができるのがメタバースイベントの大きな特徴です。これは昨今のイベントトレンドの一つである『体験型』とも合致します。2023年1月時点では回線環境等の懸念事項はあるものの、今後の技術革新に伴ってどんどんと広がっていくことは間違いありません。

距離を越えた、インターネット上でのリアルイベントともいえるメタバースイベント。ぜひ、小規模イベントからでも取り組んでみてはいかがでしょうか?

KNOWLEDGEイベントノウハウ

公開日:

2023JAN

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