GP JOURNAL

ソーシャルディスタンスなパフォーマンス事情

ソーシャルディスタンス バブルボール
Twitter@The Flaming Lips

みなさんこんにちは、GPの宮永です。緊急事態宣言解除から少し経ち、社会がもと通りになってきたように感じます。とはいえまだ気が抜けないのが実際のところ。もちろんイベントシーンも例外ではなく、これから先新しい生活様式を取り入れてどのようにイベントを展開するのかを問われています。

そんな中、海外ではソーシャルディスタンスを上手く活用し先陣を切って活躍するアーティストの姿がちらほら現れてきましたよ!ただ距離を保つだけではない、その距離すら味になるアイデアの光るパフォーマンスをご紹介いたします。

距離を味方に。ソーシャルディスタンス×エンターテイメント

新型コロナウィルスの影響でライブハウスや大型劇場などの文化施設が一旦休業に。その期間中、多くのアーティストたちが自分たちでアイデアをひねり出し自宅からライブ配信を行ったり、ドライブインを利用したシアターやコンサートを開催(過去記事でも紹介していますので参考に)していましたよね。

そんな中オンラインではなく“現場”にこだわったアーティストたちに注目です。ソーシャルディスタンスを上手く活用したパフォーマンスは結果的に斬新なものとして生まれ変わりました。それでは早速見ていきましょう。

巨大バルーンが登場!美しいメロディと重なる圧巻パフォーマンス。

まず見ていただきたいのがこの圧倒的なルックス力。アーティストはもちろん観客も一緒になって入っているのは、体を覆う超巨大バルーン。

米人気番組『The Late Show with Stephen Colbert』に出演したのはアーティストのFlaming Lips。彼らは99年にリリースした楽曲『Race For the Prize』を披露したのですが、視聴者を驚かせたのはそのパフォーマンスでした。
実はこのバンドはボーカルを務めるウェイン・コインが巨大バルーンのなかに入ってパフォーマンスするのが恒例。しかし今回は彼オンリーではなく、メンバーはもちろん観客も巻き込んでのコンサートに。

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体を覆うバルーンがソーシャルディスタンスになり、尚且つ今までにないアーティスティックで斬新なライブ会場に。距離が芸術を生み出した、逆転の発想が価値を高めたパフォーマンスでした。

NY発。パフォーマーの距離を保つバーチャルダンスパーティ

新しい生活様式として舞台でもマスクを、なんて声も上がっていますよね。それってどーなのよ!と思うところですが、それほどまでにウィルスと真剣に対面しなければならないという裏返し。アーティストと観客のソーシャルディスタンスはもちろんですが、舞台に立つ者同士もソーシャルディスタンスを考えなければならないようです。

注目したいのはNYを拠点に活躍するアーティストTin NguyenとEdward Cuttingによって手がけられたインスタレーション「We Come In Peace」。

We Come In Peace Tin Nguyen Edward Cutting
Tin&Edの公式HPより(https://www.tinanded.com.au
We Come In Peace Tin Nguyen Edward Cutting
Tin&Edの公式HPより(https://www.tinanded.com.au

彼らが行うのは、多くのダンサーやアーティストの体を3Dでスキャンし、仮想現実の世界に反映させるという作業。その仮想現実に現れた人々の影に自然なダンスをさせるというプロジェクトが現在進行中で進んでいます。現段階では未だ完成とはいかずナチュラルなダンス表現を思考中とのことですが、近いうちに見ることができるかも?

演者が3Dとして舞台上に登壇し、遠隔から1つの舞台を作り出すなんて未来は、そう遠くはなさそうですね。

舞台は水中。美しい音色を奏でるオーケストラ

演者同士のソーシャルディスタンスが気になるのであれば、水中を舞台に!なんていかが?デンマークをベースに活躍するAquaSonicは、各々が水中が入ったボックスの中でパフォーマンスをするオーケストラ。

うーん、かなり神秘的。音楽性は難しいにせよ、なんだか古代神話のような厳かなムードが新鮮以外の何者でもなし。音楽性はかなりディープにせよ、聞き続けるとちょっとくせになりそう。視覚的にも斬新なこのパフォーマンスは、音楽以外のアイディアにも当てはまりそう。

例えば水中サーカスとか…?(??)

とにかく、水中ボックスでのパフォーマンスならソーシャルディスタンスに関して文句はないはず。アイデア次第でコロナ時代のエンターテイメントの新しいスタイルになり得るかもしれません。

ここは俺の席だ!映画館で行われるユニークな席配置

昨年のカンヌ映画祭で人気を博した韓国映画『悪人伝』。本映画上映につき、シネマアート新宿/心斎橋では面白いソーシャルディスタンスアイデアが試作されるらしい…。

悪人伝 ソーシャルディスタンスパネル
『悪人伝』ソーシャルディスタンスパネル設置イメージ (c)2019 KIWI MEDIA GROUP & B.A. ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED.

こんなシチュエーションだからこそ少しでも面白く映画を見てほしいという思いから、1席ずつ空けた観客席に配されるのは本作主演のマ・ドンソクを起用した“ここは俺の席だ”パネル。強烈なワードにコワモテのこのパネルですが、確かに座りづらい。間違えて座ろうものならドンソクに即効怒られそう…。そんな映画コンセプトとマッチしたこのアイデア。むしろパネル目当てに映画館に行きたくなってしまいませんか?

テクノ王国オランダでは着席クラブイベントが開催

こちらはアイデア勝負というわけではありませんが、やっぱり現場の躍動感の中音楽と一体になりたいんだ、という熱意が伝わるクラブイベントです。

着席クラブイベント オランダ
Facebook@Doornroosje

アムステルダムはベルリンと並ぶテクノクラブシーンが熱い場所。だからこそイベント再開にアムスっ子たちは相当うずうずしていたはず。ということで、アムステルダムから少し離れた場所に位置する「Doornroosje」というイベント会場が、いち早くイベント再開に踏み切ったんですね。オンラインではなく、この会場で行われるイベントですよ。

オランダでは1度に30名までしか会場内に入ってはいけないというルールがあるらしんですね。ですのでイベント来客数は30人。約1.5メートルの間隔が確保された椅子から立ち上がり動き回ることはNG。え、それって大丈夫なの?逆にさみしくなるのでは?と思いきやそんなことは全然なく、来場者たちからは大満足との声が。やはり生の音を生の現場で体験することの特別感には抗えません。

着席クラブイベント オランダ
Facebook@Doornroosje

もちろんみんな椅子から立ち上がり音に身を任せたいと思っているはず。しかしそれが難しいのが現状。であれば光の演出による工夫や、個人の没入感が必要です。そういったテクニックを伸ばしていく努力が今後何年か必要になってきそうですね。

現在構想される対ソーシャルディスタンス型イベント会場

さて、逆境に抗い様々なソーシャルディスタンスアイデアが出ていることがお分かりいただけましたでしょうか?これから更に目から鱗な新しい生活様式を取り入れたエンターテイメントアイディアが出てくるはず。

ちなみにこの社会的距離について頭を悩ませているのはアーティストだけじゃありません。海外では少しづつ、ソーシャルディスタンスを配慮した会場作りに目を向ける人々が出てきたようですよ。

ソーシャルディスタンスありきの野外会場

「来場者が新型コロナウイルスと接触する可能性を極力減らし、ライブイベントを楽しむことができる安全な環境を作り出すこと」をコンセプトとした会場をイギリスのSSD Concertsがオープン予定。

来場者はそれぞれ2mずつ離れたエリアから舞台を鑑賞。ドリンクやフードは事前注文制で、全て一方通行。人々の接触を極力減らすデザインになっています。オープンは2020年8月14日(金)。初日のラインアップにはDJのクレイグ・チャールズ、15日にはTwo Door Cinema Clubがフルライブセットを行うことを発表しています。

車の外に出てもOKなドライブインコンサート。シリーズ化も。

https://www.instagram.com/p/CB8370nBIan/

ドライブインシアターやドライブインコンサートなど車に乗ったまま参加するイベントは今までありましたが、今回イベント大手のLive Nationが企画したのは、車の外に出てもOKなドライブインコンサート。

会場は円形劇場駐車場で、車内には1台につき4名まで乗車可能。車同士の距離は車約2台分確保されており、指定されたスペース内であれば来場者は好きに行動をすることができます。例えば椅子や飲食物を持参して仲間たちとイベントを楽しむなんて素敵ですよね。

すでに7月10日〜12日に掛けて9つの公演が開催されました。出演者はBrad PaisleyやNellyなどグラミー賞受賞者などの豪華キャスト。会場はもちろん大盛り上がりだったようです。

また、このイベントはシリーズ化する様子。土地が広いアメリカならでは…なのですが、日本でもこういったイベント会場が増えればお客さんはもちろん、アーティストたちへの希望の光にもなるはず。

終わりに

いかがだったでしょうか?ソーシャルディスタンスを守るという事は、人と人の距離感を保つこと。我々のようなイベント業界からすると、どうしたものか…と頭を悩ませてしまう話ですよね。
しかしこの逆境を逆手にとって上手くイベント運用をするポイントはどこかにあるはず。この記事が少しでもヒントになると嬉しいです。

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2020JUL

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