魔法世界を歩いて読み解く。体験型アートイベント「NANICA-NAGOYA-」

絵画や空間演出、物語、そして謎解きがひとつになった没入型体験空間が名古屋に登場。「NANICA-NAGOYA-」という一風変わったこの展示、皆さんはご存知でしょうか?
この展示では、参加者は“魔法世界に迷い込んだ人物”として会場を巡り、考え、気づきながら体験を進めていくことになります。今回は本イベントがどんな構造で、どんなストーリーをはらみ、どんな体験を私たちにもたらしてくれるのかをご紹介。
「NANICA-NAGOYA-」って一体何?

魔法世界を舞台にした体験型アートイベント「NANICA-NAGOYA-」。会場に入ってまず目に入るのは、壁一面に並ぶ絵画たち。通常の展示であれば、ここで作品や世界観にまつわる説明文が登場するところですが、本イベントはそうじゃないのが最大の特徴です。参加者自身が手がかりを探し、“秘密の入り口”を見つけるところから体験スタートという始まり方も今までになく新しい。

そこから先はいくつかのテーマ空間を自分のペースで巡っていく流れに。展示を眺める時間、仕掛けに触れる時間、謎を考える時間。そのどれかに明確に切り替わる感覚はなく、すべてがひと続きになっているのでとにかく没入感がすごい。見る、考える、歩く。その行動自体がイベント体験に含まれた完璧なるまさにシミレーションゲームのような展示なんです。

このイベントは元々下北沢で好評を博した「NANICA」の名古屋版として展開されるのですが、オープンに伴い広い空間を生かした回遊性と没入感がより強まっている点でも注目を集めています。
魔法世界×体験型アートの魅力

「NANICA-NAGOYA-」を手がけているのは、宝探しやリアル謎解きイベントを専門に20年以上活動してきた「タカラッシュ」。日本で唯一の“宝探し専門会社”として、屋内外を問わず、街や施設を舞台にした周遊・回遊型イベントを数多く制作してきたチームでもあります。
これまでに手がけてきたリアル宝探しの累計参加者数は1,000万人以上。参加者が自ら考え、行動し、発見にたどり着くという体験設計を積み重ねてきた実績があります。単に謎を解かせるのではなく、「困難に立ち向かい、自分の手で何かを見つけ出す」というプロセスそのものを体験として成立させてきた点が、このチームの大きな特徴です。
どーん!!! https://t.co/9pbBa4BbRh
— タカラッシュ【公式】 (@real_takara) August 26, 2025
そうした背景があるからこそ、「NANICA-NAGOYA-」でも重視されているのは、答えを提示することじゃないんです。物語の設定を最初から説明するのではなく、空間を歩き、オブジェクトに触れ、違和感に気づきながら少しずつ理解していく構造が採用されているんです。展示を見るというより状況を観察し、自分なりに解釈していく感覚に近いのかも?
会場ではこんな体験が待っている!
「NANICA-NAGOYA-」には、決まった順路や一律の進め方はいっさいなし!会場内を自由に回遊しながら、気になる空間に自由に立ち寄っていくスタイルです。それではここから先は、具体的な体験エリアについてご紹介。
①MIRROR(テーマ:鏡の館)


不思議な感覚を味わえるのが、この「MIRROR(鏡の館)」です。現実と鏡の世界が入り混じった空間を舞台に、自分自身と向き合う体験が用意されています。
<ストーリー>
魔女によって魔法がかけられた部屋。そこは、現実と鏡の世界が入り混じった、不思議な空間でした。映し出されるものや配置されたモチーフを手がかりに、鏡の世界に隠された意味を読み解いていきます。
<ゲーム概要>
占い:FORTUNE。心惹かれる物を見つけ、その選択を通して自らの性格と向き合う占い体験です。謎を解き進めるというより、直感や感覚に委ねて選択していく構成に。
②STASIS(時が止まった郵便局)


物語性の強さが印象に残るのが、この「STASIS」。魔法世界を裏側で支える“組織”の存在が描かれます。
<ストーリー>
人間界では空想上の産物とされている「魔法」を秘匿・管理する特別組織。その業務のひとつとして、魔法によって引き起こされた事件や事故、犯罪への対処があります。
傘下の魔法郵便局で突如発生した「魔法暴発事件」。新人である私たちは、教育係のミッテとともに現場へ足を踏み入れることに。探し当て、見つけ出せ──ようこそ、魔法の郵便局へ。
<ゲーム概要>
初級:DISCOVERY。実体と化した手紙を探し、郵便局内で起きた異変の真実を確かめていきます。派手な謎解きというより、空間に残された痕跡を丁寧に読み取る体験。止まった時間の中を歩きながら、どこに違和感があるのかを探していく感覚が印象的。
③PORTAL(魔法の商店街)


魔法世界の日常に触れるような感覚を味わえるのが「PORTAL」です。
<ストーリー>
夕食のお使いを頼まれていた私たちは、気が付くと見知らぬ商店街に迷い込んでしまいます。どうやらここは魔法の商店街。はじめての魔法世界でのお使い、略して「まほお使い」が始まります。
<ゲーム概要>
特殊印刷や五感を使った選択など、初心者でも楽しめる体験が用意されています。直感的に進められる構成で、空間を味わう比重が高め。魔法世界の“暮らし”が垣間見えるエリアです。
④DOUBT(テーマ:イカサマカジノ)


物語とゲーム性が最も強く結びついているのが、このエリアです。
<ストーリー>
絶対に勝てないと噂される闇カジノ。その正体は、魔力を持たない人間を誘い込む魔の巣窟でした。
魔力を発現させたばかりの私たちは、闇カジノへ潜入捜査を行うことに。イカサマやトリックを見破り、壊滅を目指します。
<ゲーム概要>
謎解きや論理パズル、必勝法を導くゲームなど、頭を使う体験が中心です。観察力と推理力が必要となる構成で思考力を試せます。
魔法世界の設定に沿った物販コーナーで更なる没入感を
会場内には、魔法世界の設定に沿った物販コーナーも用意されています。オリジナルグッズやドリンク、持ち帰って楽しめる謎解きキットなど、体験の余韻を日常に持ち帰れるラインナップ。単なるお土産ではなく、体験の延長として位置づけられている点が印象的です。

クランベリージュース/ラズベリーピューレ/グレナデンシロップ/炭酸⽔
Photo:株式会社タカラッシュより引用

バタフライピーシロップ/レモネードベース/レモンジュース/炭酸⽔/アイスの実
Photo:株式会社タカラッシュより引用

メロンシロップ/ブルーキュラソーシロップ/炭酸⽔/ポッピングボバ
Photo:株式会社タカラッシュより引用

⽜乳/アイスコーヒー/ココアパウダー/チョコソース/チョコクリーム/ココアクッキー
Photo:株式会社タカラッシュより引用

ブルーキュラソーシロップ/スプライト/炭酸⽔/オーロラパウダー⼊りコットンキャンディー/砂糖菓⼦
Photo:株式会社タカラッシュより引用
「体験すること」自体が展示になる、という考え方
「NANICA-NAGOYA-」では、参加者の行動や思考そのものが体験の一部になります。どこを見るか、何に気づくか、どう進むか。その積み重ねによって、体験の内容は人それぞれ少しずつ変わっていきます。見る側と作品、解く側とゲームが分かれていない。その構造自体が、このイベントをアートとして成立させているのかもしれません。
「NANICA-NAGOYA-」は、派手な演出で驚かせるタイプのイベントではありません。歩き、考え、気づく。そのプロセスを大切にした体験型アート。だからなんだか心控える面白みがあるんです。もしも今、これまでなかった”少し違うかたちのアート体験”を探しているのなら「NANICA-NAGOYA-」を訪れてみるのも良いのかも?それではまた。

