香文化を次世代へ繋ぐ、シックで新しい香文化体験
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過去・現在・未来を通して日本の“香文化”を体験する。
4月17日(木)に開催された「日本香堂グループ450年記念香会」について今回はご紹介。
香文化の過去・現在・未来を体験する香イベントとは?
日本香堂グループ450年記念香会

お線香やお香、フレグランスを展開する日本香堂ホールディングスの「450プロジェクト“聞く〜awake your spirit〜”」。このプロジェクトは「香りを聞くことで五感が磨かれ、新たな自分へと内面から研ぎ澄まされる。時空を超え、香りとともに旅をする時間」というストーリーのもと、「今までを聞く」「今を聞く」「これからを聞く」の3つの視点からプロダクトやコンテンツを展開するという自由で面白い試みのプロジェクト。その一環として開催された香会が、今回ご紹介する「日本香堂グループ450年記念香会」でした。
全身で香りを感じる=「聞く」という香りの体験
日本の誇る伝統文化として茶道や書道と並ぶ香道。この文化が始まったのは室町時代と言われています。繊細なお香の世界には興味深い側面は多々あれど、中でも面白いのは多彩な表現方法だったりします。例えば香文化において全身で香りを感じることは「聞く」と言うらしく(嗅ぐじゃない!!)、その豊かな感性に日本文化の奥深い美しさすら感じます。
さて、今回の記念香会では、室町時代から香道を受け継ぐ御家流香道第二十三世宗家三條西堯水命名の香木「羅國しらべ」や、平安時代の薫物、はたまた古代から親しまれる和木の香りの新作など、時空を越えた香体験が登場。
開催場所は大本山護国寺の茶寮。国指定重要文化財の月光殿をはじめ、由緒ある茶室を舞台に新作の唐津焼、鍋島焼の聞香炉の発表ほか、ピエール・エルメ・パリの呈茶席まで、新旧斬新で楽しい空間にゲストは楽しい時間を過ごしたようです。
香りの奥深さに触れる。時間軸がコンセプトのストーリー
『今を聞く』:銘々香「羅國しらべ」と令和の新作組香「麗春香」を体験


Photo:プレスリリースより引用
月光殿のコンセプトは『今を聞く』。御家流香道第二十三世宗家三條西堯水さんを招き用意されたのは、銘々香「羅國しらべ」と新作組香「麗春香」の体験です。


Photo:プレスリリースより引用
「羅國しらべ」は希少な香木の中から本香席のために選出されたもの。
新作組香「麗春香」は古今集にある紀友則の和歌をテーマに作られたものということで、双方どちらも雅やか。香道が生まれた室町時代の様子を再現した行燈の光と自然光の中で、参加者は主催者の解説を聞きながら香炉に焚かれた香の種類と順番を聞き分けます。
『これまでを聞く』:平安時代の「六種の薫物」を体験


Photo:プレスリリースより引用
月窓軒で体験できるのは平安時代の薫物『六種の薫物(むくさのたきもの)』の香りです。
薫物とは平安時代に貴族の生活を彩った香り文化のこと。当時の貴族たちは自分の美意識を誇示する表現の一つとして自分の香りを作り、衣にも扇にも紙にもその香りを移しました。
貴族たちが生み出した代表的な香りとして残るのは、源公忠朝臣処方の「梅花」や山田尼処方の「荷葉」など六種ほど。それらを現存する文献を元に忠実に再現し、香の伝道師の解説のもとで参加者自ら作ってみる。伝統的、かつ、これまでなかった新しいお香のアプローチはまさにここでしかできなさそう……!
『これからを聞く』:初お披露目の「和香六木」を体験


Photo:プレスリリースより引用
牡丹の間では、国内初披露となる『和香六木』を聞く体験が。
日本各地にはその土地の気候や自然環境によって独特の芳香を発する木々があります。それらは地域の生活や芸術、工芸などの文化に大きな影響を与え、幾つかは神聖なものとして重要視されてきました。そんな木々から六樹の薫りを選定。香席形式での聞香はまさに神秘的な瞬間。
さらにこの席では、初の試みとしてガラス作家輪島明子さんによる「ガラスの香道具」も登場。涼やかなガラスと神秘的な六樹の薫りのハーモニーは想像するだけで美しすぎる。艸雷庵では呈茶席で御凌ぎ後のひと時を。お抹茶とピエール・エルメ・パリのマカロンのマリアージュはグローバルな現代ならではの楽しみ方。
シックでエレガント、なのに新しくてとてもクール。そんな言葉がぴったりの伝統とモダンがクロスする最高に素敵な現代の香体験。伝統の文化だからこそ楽しみ方をアップグレードしなければ未来には続かない。だからこそ、時代の空気を読み込んで心地よいところで文化を紡ぐ。「日本香堂グループ450年記念香会」はまさにそんな空間だったはず。それではまた。