夜の京都でアートを楽しむ「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence 2025」
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9月27日から10月4日にかけて開催された、現代アートフェスティバル「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence 2025」。「夜の白夜」という名前の通り、夜をアートで染め上げる本イベントは今年で15回目の開催です。
ニュイ・ブランシュKYOTO in Residenceとは?
そもそも「ニュイ・ブランシュ(Nuit Blanche)」とは、2002年にフランス・パリで始まった現代アートの祭典です。
「夜を徹してアートを楽しむ一晩」をテーマに、市内の美術館や劇場、公園などを開放し、街全体を舞台にアート体験を展開するイベント。このイベントがパリの姉妹都市、京都で初めて開催された2011年から今年でもう15年。京都の秋の風物詩としてすっかり定着した本イベントは「夜の街を歩きながらアートをめぐる」という非日常体験が人気を集め、昨年も国内外から多くのアートファンや観光客が来場しました。
『ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence 2025』の気になる内容
テーマは「滞在制作=in Residence」
2025年のニュイ・ブランシュKYOTO in Residenceでは、夜の京都を舞台に“語りかけるようなプログラム”が目白押し。舞台芸術・映像・香り・パフォーマンス。その表現はジャンルを軽やかに越え、観る人の五感を刺激。ジャンルを自由に横断する様々なアートの表現が、訪れた人の記憶に深く刻まれた一夜となりました。
オープニングは、京都駅ビル駅前広場での「Flags Parade」からスタート。衣装で身体を変容させた演者たちが“ハイブリッドな生物”として舞いながら、互いを探し、出会いを求める物語を描き出しします。旗や布が夜風に揺れるなか、光と影が重なり、まるで夢のようなひとときに。
ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence🌕のオープニングが9/27、フィリップ・セトン駐日フランス大使、竹内重貴 京都市副市長隣席の元、京都駅ビル駅前広場で行われました。
— 関西日仏学館🇫🇷 (@IFJK_) September 30, 2025
2025年度ヴィラ九条山レジデントのドラティアリ=ドラドゥストとシャレールによるパフォーマンスの様子もぜひご覧ください✨ pic.twitter.com/glBUwQPPRz
続いてオープニングセレモニーが行われ、駐日フランス大使や京都市副市長らの挨拶で会場が正式に開幕しました。
その後、拠点会場のひとつ・関西日仏学館では、映像とパフォーマンスを交錯させる作品「femmeuses en ville à Kyoto」が夜通し公開されました。女性たちの身体性をテーマに、声・動作・映像が空間を奪い合い、観る者に問いかけるような強い表現が鳴り響きます。別プログラムでは、日本各地の地震被災地の証言をもとにした朗読と映像を連動させた「Concerning Time ~ 国破れて山河あり」が上演され、時間と記憶を重ねて映し出す挑戦的な内容に。


HOSOO LOUNGEでは、香水と漆という異なる素材を掛け合わせたインスタレーション「CONSTELLATION」が昼夜展開。暗がりに浮かぶ漆の光沢、空気にそっと香る香料、その両方が混ざり合う空間で、観た人の感覚を揺さぶる“刹那のうたかた”を演出。
西陣織旧工場では、ファッションと工芸を織り交ぜた展示が。仏人デザイナー・ポール・ボンヌヴィルによる、京をテーマにしたアクセサリーコレクション「9738 km」が発表され、織物工場という歴史を宿す場所そのものが舞台に変わっていました。工場の機織り音がかすかに残る空間で、伝統とモダンが対話するような展示だったようです。
船岡山公園(STUDIO MONAKA)では、造形作家ジュール・ゴリアットによる“ウォーキング・パフォーマンス”が展開。参加者との物々交換を織り交ぜながら、記憶や絆を探求する旅を映像として記録し、インスタレーションへと昇華させたとのこと。夜風の中で、静かな動きが街の闇と交錯する体験が多くの人の目を引きました。

京都コンサートホールのエントランスホールでは音楽プログラム「想像×創造 ~ imagination × creation」が開演。ギター、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ──クラシック楽器の四重奏が夜の開始を告げ、アーティスト・イン・レジデンスの起源にも触れる演目が繰り広げられました。


夜はさらに、CLUB METROでのアフターパーティーも。数々のクリエイターやDJが集い、午前5時まで国際的な音と空気が渦巻く“夜の集い”が開催されました。
こんな感じで2025年は“場所が作品になる”を徹底したプログラム設計。ひとつひとつが場所性と密接に結びつき、京都の風景と時間を巻き込みながら、参加者を深い体験へと誘いました。
トークとワークショップで“アートに触れる”

展示を「見る」だけでなく、「関わる」ことができたのも今年の魅力。期間中はアーティスト自身が登壇するトークセッションや、制作の裏側を体験できるワークショップも登場。

香りづくりのデモンストレーションや、漆を使った素材実験、身体表現のワークショップ「踊る身体」など、ジャンルもさまざまです。観客がアーティストと会話を交わしながら自分の感覚を少しずつ解きほぐす。日常の延長線にアートが息づく特別な瞬間になりました。
終わりに
アートの形を“作品”から“体験”へと広げるイベント「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence 2025」。アーティストが滞在し、街と交わり、人と関わることで生まれた作品たちは、ただ観るだけでは届かない温度を持っている。次回もし参加ができるのなら、少し夜更かしして京都とパリならではのアート体験を是非ともしてみたい。それではまた。




