「内定式」とは?入社式との違いやプログラム、成功のコツ、主催用チェックリストをご紹介!
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「内定式」は内定者を歓迎し、企業カルチャーを伝えたり期待感を高めたりすることで関係性を構築し、内定辞退率を下げるための重要な施策です。人的資本経営への取り組みの一環で、内定式に力を入れて実施する企業が増えています。
今回は入社式の開催背景や当日のプログラム、準備やインパクトのある演出アイデアなどを内定式を実施する会社側の目線でご紹介していきます。
内定式とは

内定式は内々定者に正式な内定通知を行い、企業側の歓迎と期待を伝える式典です。トッププレゼンや内定証書(または通知)の授与、内定者の自己紹介、今後のスケジュール・提出物の案内などで構成されています。
内定式と入社式の違い
内定式と入社式の一番の違いは参加者の立場です。企業の方針にもよりますが、内定式の時点ではまだ「内々定」の段階、つまり企業との労働契約がまだ成立していないケースもあります。それに対し、入社式では新入社員と会社との労働契約が成立しています。そのため、内定式と入社式では必然的に求められる要素が異なるのです。
開催時期と背景
内定式は主に10月1日ごろに実施されています。経団連の指針で正式な内定日は10日1日以降と定められているため、それより早くなることはほとんどありません。とはいえ、必ず10月に開催されるとも限りません。採用日程や採用者の学業状況、内定確定時期に合わせて11月以降に開催されるケースも見受けられます。
参考資料:
調査データで見る「入社に向けた内定者フォロー」(株式会社キャリタス)
内定式の目的とは
内定式の目的は内定者に「この会社で働く」という実感と安心を持ってもらうことです。内定式の時点では内定者は正式に入社していません。人員不足が叫ばれる昨今、優秀な新入社員を集められるかは企業の死活問題。内定式は信頼関係を構築し、確実に入社してもらうための重要施策なのです。
内定式を開催するメリット
現在、大企業はもちろん、中小企業でも内定式を開催する企業が増えています。ここでは内定式を開催するメリットをご紹介します。
入社前エンゲージメントが向上する
内定者同士や先輩社員と接点が生まれるため、「仲間意識」や「企業への信頼感」が高まります。結果として入社までの不安が軽減され、内定辞退率や初期離職率を抑えることが期待できます。
ブランディング効果が期待できる
内定式の様子を写真・動画・内定者コメントをメディアや自社サイト、SNS等で発信することで「雰囲気の良さ」「若手を大切にする企業文化」をアピールすることができます。これは次年度以降の採用活動に大きな影響があります。
企業と内定者の認識ギャップを埋める
式典でのトッププレゼンや、懇親会等での先輩社員のリアルな語りを通じて「企業と内定者の距離」が縮まることで、入社前に抱えている不安や疑問を解消しやすくなります。また、内定式の参加を通じて連絡体制を整えることができるため、入社準備をスムーズに進めやすくなります。
内定式を開催するデメリット(リスク)
内定式はメリットもたくさんありますが、実施に当たっては気を付けなければならない点もあります。ここでは内定式開催時に発生しがちな起業デメリット(リスク)をご紹介します。
企画・運営に手間がかかる
内定式の会場手配やスケジュール調整、各種連絡や当日の段取りなど、内定式を開催するにあたっては様々な手配が必要になります。特に採用や総務は繁忙期と重なりがちのため、キャパオーバーが起こる危険も。規模感にもよりますが、内定式を開催する際はイベント会社などを活用することでリスクを軽減できます。
コストがかかる
内定式はそれ自体で収益を生むものではありません。飲食を含めた懇親会を同時開催したり、オンライン・ハイブリッドを取り入れたりと、イベント内容によってかかる費用は大きく変わるため、費用対効果を考えて企画することが大切です。
参加者と欠席者で温度差が生まれる
参加者(内々定者)はこの時点では労働契約が成立していないことも多く、参加するかは個人の意思に委ねられています。そのため、開催地との距離や学業の状況、家庭事情などから欠席となり、参加者と欠席者の間で温度差が生まれるリスクがあります。
内定式の流れ・プログラム
ここでは、内定式の定番の流れをご紹介します。
開会・オリエンテーション
内定式の流れを説明します。重要な配布資料等がある場合はここで確認も行います。
代表挨拶
いわゆるトッププレゼンです。企業によっては内定者が社長に初めて会う機会になることもあり、内定者の企業イメージを決める重要なプログラムです。
内定証書(通知)授与

内定証書の授与は「あなたを当社の一員として迎え入れます」という意思を形で示す行為です。内定証書を授与されることで内定者には「責任をもって入社しよう」という気持ちが芽生えます。
内定者自己紹介
内定者が「これから入社する存在」として自己紹介をします。内定者の人数によって、全員が行う場合と代表が挨拶するパターンとがあります。
提出物・入社までのスケジュール案内
入社にあたっての正式な手続きや今後のスケジュールを告知します。あえてイベント内に案内時間を設けることにより、連絡の徹底だけでなく、内定者に今後の自分をイメージしてもらう効果もあります。
先輩社員との交流タイム
内定者と既存社員がお互いに「これから一緒に働く同士」として交流する時間です。内定式の中で交流プログラムを用意したり、懇親会でじっくり時間を取ったりと形式は様々です。大規模入社式の場合、部署ごとに分かれて改めて自己紹介を行うこともあります。
集合写真・フォトスポット撮影
最近のイベントに欠かせないのが写真撮影です。集合写真はもちろん、フォトスポットを設けて自由に撮影してもらうことでイベントの満足感や内定者エンゲージメントを高めることも期待できます。
内定式の準備チェックリスト
内定式は入社式に比べると歴史が浅く、開催経験がない企業も多いイベントです。ここでは開催する企業側の内定式の準備チェックリストをご紹介します。
企画・目的設定
□開催目的は明確になっているか?(式典重視/コミュニケーション重視など)
□内定者数・内定者以外の参加者(役員・採用担当・司会など)は確定しているか?
□開催形式(リアル/オンライン/ハイブリッド)は決まっているか?
会場・日程
□会場は確保できているか?
□イベントに必要な設備や控え室・受付スペースの確保はできているか?
□内定者、参加予定者の日程の事前告知・参加の確認は行ったか?
プログラム設計
□プログラムに過不足はないか?
□内定証書授与時の導線は整っているか?
□記念撮影の時間確保と段取り設計は万全か?
□懇親会を行う場合の移動や準備は万全か?
内定者への連絡
□内定者への連絡、参加可否の確認は完了しているか?
□服装・持ち物・集合場所の案内は万全か?
当日運営
□受付や誘導、ステージの担当は明確か?連絡体制は?
□タイムキープ担当の準備は万全か?
□トラブル対応のシミュレーションと対策は万全か?
アフターフォロー
□内定者へのお礼メール送信やアンケートの回収は行ったか?
□内定者がコミュニケーションを取れる体制はできているか?
□内定者研修や懇親会への導線はスムーズか?
内定式はリアルとオンライン/ハイブリッドどちらが人気?
内定式はリアルで開催されることが多いイベントです。また、内定者向けアンケートでも「実際に企業に訪問して参加したい」という意見が多数を占めています。

こういった事情から、内定式はリアルイベントを想定して企画するのがオススメです。ただ、全国や世界中に支社があり、内定者の住所もバラバラの場合など、リアルだけでは難しいケースもありますので、オンライン、もしくはハイブリッド形式での開催も候補に入れておく必要があります。
内定式をオンラインorハイブリッドで開催するときのポイント
内定式をオンラインもしくはハイブリッドで開催する場合、臨場感や双方向性の設計が必須です。内定者へのアンケートでは『内定式にあると嬉しいコンテンツ』として同期や入社時期が近い先輩との交流が挙げられています。

こういった事情を踏まえると、オンライン/ハイブリッドであっても少人数のグループに分かれての交流コーナーは欠かせないと言えます。また、リアルタイム投票やQ&Aによる双方向コンテンツにより、常に「自分以外の内定者や社員の存在を感じられる」環境を整えることも求められます。企業側からの一方的な発信ではなく、いかに内定者を巻き込んでいけるかがポイントになるでしょう。
内定式の開催事例
MARK STYLER 2025年度新卒 内定証書授与式(MARK STYLER株式会社)

MARK STYLERは入社への期待を高め、内定意識を醸成するために内定式を行いました。内定者は入社後に様々な場所に配属されることを踏まえ、内定式はコミュニケーションを主軸に添えたプログラムに。所属するブランドの事業部長などの考え方を知るのはもちろん、先輩社員や同期との関係を深める機会、仕掛けを盛り込みました。
2025年度新卒 IDOM内定式(株式会社IDOM)

株式会社IDOMは「内定者に自分の選んだ道が正解であるという自身の覚悟と自信を醸成すること」をテーマに内定式を開催しました。式典内では内定者の両親向けの配信などのコンテンツを盛りこむことで内定者と両親、双方の不安の払しょくを図りました。また、社員を交えた名刺交換ゲームを通じコミュニケーションの機会を設け、内定者が自然と「自分は株式会社IDOMの一員になる」という認識を持てるようにしました。
ANA(全日本空輸株式会社)
ANAは東京ビッグサイトにて内定式を行いました。内定式は「人財大学」というANA内で人材教育に取り組む部署が企画・開催。あえて自社内で企画することで内定者・社員双方のエンゲージメントを高めています。また、内定式の様子や裏側をダイジェストでYouTube公開し、未来の社員に向けてのブランディングも行っています。
株式会社みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループは内定式にてギネス記録に挑戦。式典の中に「全員で記録を作る」というプログラムを盛り込むことで一体感を高めました。
日本生命保険相互会社
日本生命は内定者約800名のうち、転勤などがある総合職の内定者を中心とした400名を招いての内定式を開催しました。式典そのものの参加者は全内定者の半数ほどに絞っていますが、別日程でコミュニケーションを図るためのイベントが開催されます。このように、全国に支店がある企業では「式典としての内定式」と「内定者と社員のコミュニケーション機会」を別に設けるのも一つの方法です。
よくある質問(FAQ)
内定式の準備はいつごろから開始すればよいですか?
内定式は一般的には10月1日前後と「開催時期が決まっている」タイプのイベントです。準備に要する日程は規模感にもよりますが、おおむね3ヶ月前から準備を始めるとスムーズです。ただし、多くの会社が同タイミングで開催するため、外部会場を使う場合は早めに会場を予約しておくことが大切です。
内定式と内定者懇親会は同日に開催したほうが良いですか?
内定式と内定者懇親会の同時開催のメリットとして次のようなものが挙げられます。
・一日にまとめることで内定者の参加率を上げることができる
・運営コストを抑えることができる
逆に、デメリットとしては次のようなものが挙げられます。
・プログラムが長くなるため集中力が切れやすい
・参加できなかった内定者のエンゲージメントを高める施策が別途必要になる
必ずしも同時開催が必要ではないので、プログラムの内容や内定者の配属先などに合わせて柔軟に検討していきましょう。
内定式の演出やコンテンツはどれぐらい盛り上げればよいですか?
内定式の大きな目的は「内定者の入社意欲を高め、内定辞退率を下げること」です。あくまでも入社前であることを踏まえると、派手な演出よりも「これから働く企業に対する理解と期待を高める」ことに重点を置いた方が効果が見込めます。定番の流れに企業らしいエッセンスを加える、式典よりも懇親会や交流に力を入れる等、あくまでも「内定者の意欲を高める」ことを意識するのがポイントです。
まとめ

人材獲得が難しくなる中、内定者の心に寄り添い、未来への期待を育てる内定式の価値はますます高まっています。式典の流れや演出ひとつで、企業への理解度もモチベーションも大きく変わります。しっかりと準備された内定式は、内定者が「ここで成長したい」「この会社と未来をつくりたい」と思える決定的な瞬間を生み出します。企業の未来を担う人材を迎える場として、ぜひ 自社らしさが伝わる内定式づくりを進めてみてください。


