光×空間×身体で感じる新体験。アブダビ発teamLab最新公開コンテンツ

Photo:チームラボ株式会社より引用
東京・日本からは遠く離れたアブダビ。そんな異国の地で、今アート体験の概念を更新する展示が進化しています。「teamLab Phenomena Abu Dhabi」は、無数の光の球体や拡張された空間表現を通じて、来場者の身体感覚と認識を揺さぶる没入アートの最前線。2025年12月16日(火)より新作が公開されたことで、没入感のレイヤーがさらに増しSNSを中心に話題に。今回はその新作公開のポイントと、観るだけでは終わらない体験構造をご紹介。
「teamLab Phenomena Abu Dhabi」ってどんな場所?
「teamLab Phenomena Abu Dhabi」は、アブダビのサディヤット文化地区に誕生したチームラボの大規模常設施設です。ここで扱われているのは、完成された“作品”というよりも、「現象(Phenomena)」そのもの。
光、空間、時間、そして人の存在が相互に影響し合い、瞬間ごとに異なる体験を生み出していく。一般的な美術館のように「作品を鑑賞する」ということではなく、空間に入り込んだ時点でここでしかできない非日常体験がすでに始まり、ディープに没入体験ができるのが特徴です。
来場者の動きや立ち位置、人数までもが体験の内容を左右し、同じ空間でも二度と同じ体験は生まれない。ルーヴル・アブダビなど世界的な文化施設が集まるエリアに位置している点も、この場所が持つ特別な文脈を強めています。
チームラボをおさらい。「作品」をつくらないアート集団
ここであらためて触れておきたいのが、teamLabという存在そのもの。改めて説明すると、teamLabは、アーティスト、プログラマー、エンジニア、数学者、建築家など、さまざまな分野の専門家によって構成されるアート集団です。彼らが一貫して問い続けているのは、「人間は世界をどのように認識しているのか」「世界と自分の境界はどこにあるのか」という根源的なテーマ。
彼らの作品は、絵画や彫刻のように“そこに固定されたもの”ではありません。鑑賞者が空間に入り、動き、触れ、存在することで初めて成立します。つまり、作品と人の関係は常に流動的。
今回の「Phenomena」という名称も、まさにその思想を体現しており、「完成形の展示」ではなく、「起こり続ける現象」を体験させることに重きが置かれています。日本国内外で展開されてきたteamLabの展示の中でも、アブダビは特にその思想を純度高く体現する場と言えそうです。
新たに公開された作品

Photo:チームラボ株式会社より引用
今回発表された、「teamLab Phenomena Abu Dhabi」に加わった新作ですが、いずれも、完成された作品を鑑賞するというより、空間の中を歩きながら、光や構造、認識の変化を体感していくタイプの作品たち。
teamLabらしい没入感はそのままに、身体の位置や視点によって見え方が変わり、鑑賞者自身の存在が体験の一部として組み込まれていく構成が印象的。ここからは、今回新たに公開された作品を、それぞれどんな体験なのかという視点で紹介していきます。
■《質量のない太陽と闇の太陽》

Photo:チームラボ株式会社より引用
チームラボがアブダビの常設アート施設 teamLab Phenomena Abu Dhabi で新たに公開した《質量のない太陽と闇の太陽》は、視覚と認識をテーマにした没入型インスタレーションです。無数の光の球体がシーン内に浮かび、それぞれが強く輝くと周囲の球体へ呼応しながら連続していく様はまさに神秘的。

Photo:チームラボ株式会社より引用

Photo:チームラボ株式会社より引用
光そのものだけで形づくられた球体は、物質的な境界を持たず、見る人の位置や視点によって存在感が変化します。闇の球体に見えるものも、実際には認識の中で生まれる「彫刻」として扱われるなど、光と闇の関係性そのものを鑑賞体験へと転換する作品は生き物のよう。見る側の身体と認識がダイナミックに作用し合い、光の連鎖を主体的に感じられる体験となっています。
■《Megaliths in the Roots Garden》

Photo:チームラボ株式会社より引用
同じく公開された《Megaliths in the Roots Garden》は、既存の作品空間を下階まで拡張し、体験の深さと視点を増したインスタレーションです。異なる時空の塊であるメガリスが立ち並ぶこの空間では、メガリス周辺に生えた木々の根がそのまま下のフロアへとつながり、空気中でも生育できるような環境を表現。

Photo:チームラボ株式会社より引用

Photo:チームラボ株式会社より引用

Photo:チームラボ株式会社より引用
地上と地下をつなぐような視覚構造と、実際には土がないにも関わらず「生育する」ように見える根の配置が、自然と人工、見えるものと見えないものの境界を探るような不思議な印象を生み出します。閲覧者は動きながら、この空間がひらく視点と立体的な構造の変化を追体験していくことになります。
終わりに
「teamLab Phenomena Abu Dhabi」は単なる展示の集合ではなく、体験そのものを更新し続けるプロジェクト。光や構造、空間といった要素が固定された作品として存在するのではなく、鑑賞者の身体や認識と関わりながら創造されていく。完成された答えを提示するのではなく、体験することで問いが生まれ、感情が揺さぶられていく。そのプロセスを大切にしている点からも、あらためてteamLabの持つエネルギーを感じさせられます。
新作が加わったことで、この場所が今後どのように変化し、どんな体験を生み出していくのか。これからの展開も含めて、引き続き注目していきたいプロジェクトなのではないでしょうか。それではまた。

