GLOBAL PRODUCE

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♯8 Sebastien Phal 「日仏を架ける、クリエイティビティ」

 

今回ご登場いただくのは、パリに本社を置く、エアスタージャパン(株)日本オフィス代表の SebastienPhal氏です。クリエイティブにとことん拘り、空間照明演出に情熱を注ぐファル氏が推し進めるのはヨーロッパと日本のミックススタイルによるビジネス。クリエイティビティを養い、常に新しいものを生み出す、その原動力についてうかがいました。

日本進出の可能性

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三戸:
このユニークな空間照明ビジネスが始まったきっかけをお教えてください。
Phal:
もちろんです。エアスターは20年前にフランスで事業を始めました。
この光るオブジェを創った人間が創業者です。最初は映画産業向けに製品を提供していたんですよ。
三戸:
そうだったんですか!
Phal:
僕がこの会社に出会ったのは6年前のことです。
その頃まだ日本に支社はなく、僕たちは日本のイベント事業のマーケットに可能性を感じ、
それに特化した製品やサービスを提供するために日本進出を決めました。
私たちが扱うような製品は日本にはまだなかったので、それを武器にビジネスを展開できると思ったんです。
今のところ、日本では、イベント事業の割合が80%ほどです。
三戸:
主軸はイベント業界での事業なんですね。
Phal:
そうですね。ただ、ほかにも工事現場用や、
レスキューやセーフティー関連の製品なども展開しています。
よく工事現場で見る、宙に浮いた照明はエアスターが最初に創ったんですよ。
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※工事現場で使われるエアスター社の夜間照明
 
三戸:
そうだったんですか!
Phal:
アジアのヘッドクオーターである
シンガポール支社で創ったのものを日本に持ち込みました。
今やあちこちにエアスターの製品がベースとなったものが溢れています。
嬉しい限りですよ。
こういった、工事現場で使う製品の販売などは海外の拠点からでも可能ですが、
イベント事業は、ただ単に製品を納品して終わりというわけにはいきません。
Facetofaceでの企画ミーティングが不可欠ですし、
制作・実施に際しては担当者が現地でオペレーションしなくてはいけません。
ですから、イベント事業を主眼に据えたとき、
日本支社を立ち上げることが必要だったんです。
三戸:
なるほど。

Phal:
フランスでもアメリカでもシンガポールでも、
映画・工事現場事業が事業の主軸ですが、
日本に関しては創造性と現場での一貫性が求められるイベントに焦点を当てています。
イベントでは、カタログを見せて製品を選んでもらう、という形の受発注と違い、
クライアントのニーズを汲み取って意見交換をすることが必須で、
それが、当社の製品を魅力的に使ってもらうためにはどうしても必要なプロセスなんです。

 

フランス×日本

三戸:
エアスターで働いていらっしゃる方は皆さんデザイナーさんでもいらっしゃるんですか?
Phal:
もちろんです。小さな会社ですが、
全員がデザイナーとしての能力を兼ね備えつつ営業・制作やその他の業務も行います。
もちろん、大きなプロジェクトにおいては、私達を手助けしてくれる外部パートナーのネットワークも持っています。
この点がある意味エアスターのビジネススタイルのひとつの要ですね。
三戸:
社員の皆さんが全員デザイナーであるなんて、とっても魅力的ですね。
Phal:
ありがとうございます。
三戸:
日本でデザインしたものは日本で生産されているのですか?
Phal:
いいえ、すべての製品はフランスで製造されます。フランスには、これまでのすべてのノウハウが蓄積されていますから。
だからこそ、このバルーンにLEDライトを入れたいだとか、家具にしたいといったような多様な希望に応えられるのです。
常に様々なプロジェクトを実施し、違う形を模索し、全く新しい製品を生み出しています。
三戸:
一貫性を保つためには、フランスで一括生産することが必要なんですね。
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※バルーンから発展して生まれた、内照式ファニチャーの数々
 

ヨーロッパの国々からインスピレーションを受けて製品化する

Phal:
また、私たちはヨーロッパ人であるためフランスやイタリア、
ドイツからも多くのインスピレーションを受けて、
それらを製品に落とし込むことができるんですよね。これも大切にしているビジネススタイルですね。
三戸:
なるほど。道理で独特な製品に溢れているわけですね。
Phal:
私達は唯一無二の製品を製造し続けることで他者との差別化を図っています。
日本のマーケットはある種の飽和状態にありますから、
こうしなければ生き残っていけないですし、
日本でビジネスを展開する意味がありません。
04
三戸:
日本でこの事業を成功させるための戦略なんですね。
Phal:
他社との差別化はもちろんなのですが、
この差別化をいかに日本のスタイルに合わせられるか、
というところも重要なんですよね。
制作も企画も日本のスタイルでなくてはなりません。
大切なのは、私たちが持っているヨーロッパのアイディアや知見を、
日本流にミックスし、アレンジすることなのです。
それが私の思うクリエイティビティですね。
三戸:
難しいことですよね。
Phal:
そうですね。掛け合わせをするためには、
常に新しいアイディアを収集する必要がありますね。
このやり方は日本だけでなく、シンガポールでも中国でもアメリカでも同じです。
でもさまざまなバックグラウンドから
色んなアイディアを得られるのも私たちのの強みの一つですし、
すなわちそれが我々のコンセプトでもあります。
小さな支社が世界中各地にあるからこそ、
ヨーロッパのアイデンティティを持って
現地の文化を汲み取り新しいものを創造することができるのです。
これが成功した要因の一つですね。

 

多様性と順応性がエアスター社成功の要因

三戸:
ところで、エアスターという社名の由来を教えていただけますか?
Phal:
創業当時の製品の多くはヘリウムガスで空中に浮かぶタイプのものでした。
まるで星みたいにね。
ユニークでかつインターナショナルな名前をつけたかった我々にとって、
“エアスター”はぴったりの名前だったのです。
三戸:
確かにぴったりです。
Phal:
20年前のちょうど創業当時、エアスターは映画「タイタニック」のディレクターであった
ジェームス・キャメロンとコラボレーションして船のライティングを一緒に行いました。
これは国をまたいだプロジェクトだったので、国際的な名前が良かったんです。
三戸:
そんな大きなプロジェクトもやられていたんですね。
次に「タイタニック」を見る時は船に注目することにします。笑
Phal:
私たちは多くのユニークな形の製品を扱っていますが、
空間照明や空間装飾を施すためのライティングの技術も実は、
エアスターのビジネスのコア要素です。
どんなにクリエイティブな製品でも光が単一ではその魅力は半減してしまいます。
ライティング技術によってプロダクトをより魅力的に演出しているんです。
三戸:
その美しい光の効果か、エアスターの製品は暗いところでより映えるものが多いですよね。
Phal:
技術の進歩につれ、製品やサービスにもイノベーションが必要です。
20年前からある製品も時代の進化に伴って少しづつ変化させています。
だからこそ現代の映画産業やイベントにふさわしいものを提供し続けることができているのです。
照明業界に置いて世界的リーダーの座を得ることができたのも、
これが要因の一つかもしれないですね。
もちろん競合他社はたくさんありますが、
対抗できているのは製品の多様性と会社の順応性が高いからなのかと個人的に分析しています。
05
 

固執すると飽きられる

三戸:
今後のビジョンがあれば教えてください。
Phal:
そうですね…今後の会社のビジョンは、
もっと多くの日本のお客様に製品やサービスを提供することですね。
個人的な目標としては、ゆっくり確実に会社を成長させることを望んでいます。
毎年多くの人と一緒に新しいサービスや製品を開発し、
常に何かしらの付加価値をつけながらこのビジネスの根幹をしっかりと固めていきたいですね。
三戸:
経営者ならではの視点ですね。
Phal:
現状で満足し、何かに固執すると製品やサービスは確実に飽きられます。
エンターテインメント業界は特に。
だからこそ我々は常に新しいアイデア、新しいコンセプト、新しい製品を常に追い求める必要があるのです。
私はこのスタイルを日本で確立させることが使命だと思っています。
ヨーロッパのアイデンティティをベースに、アイディアを日本仕様に変え、
私たちのファンを増やしていくことがポイントですね
三戸:
常に新しいアイディアを持ち続けるためには、どうしたらいいでしょうか。
06
 
Phal:
それには一つ大切な考え方があると思っています。
もし何かを創造し、それをビジネスとして世に広めたいと思った時、
その方法を教えてくれる学校なんてものはありません。
だからこれだというアドバイスは正直ありません。
エアスターの仲間になってくれた人たちには、
それぞれ多様なバックグラウンドがありますが、全員共通して、
このような製品を生み出している会社のスタイルに興味を持ち、それに共感をしています。
様々な人種の社員がいますが、全員が会社のビジョンに共感し、
クリエイティブなものを生み出そうとしたとき、各々が持っているアイディアをミックスさせ、
その土地のスタイルにアレンジをするだけで創造以上に独創的なものが出来上がるんですよね。
これだ、という方法はないですが、
色んな場所で色んな仲間と意見を交換しトレンドと文化を巻き込めば、
それがクリエイティビティを生む一つのプロセスになります。
それぞれアイディアが生まれる流れを知るのも
クリエイティビティを養うための一つの手立てになるかもしれませんね。
三戸:
プロセスを学ぶことがクリエイティビティを養う手立てになるのですね。
納得です。
Phal:
あとはやはり机上の学びより、実践での学びが一番じゃないですかね。
デザイナーになりたいのであれば必要となる“スキル”は学校で学べますが、
自分の中のアイディアのストックは全て“経験”です。
私自身、時間がある時は海外へ行って今現在何が流行っているのか、
情報を仕入れてきます。
そこでたくさんの影響を受けたくさんの引き出しを得ます。
今は昔と違って簡単に海外に行けますが、
その利点に特に若い世代の方は気づいていないと思います。
もっと気軽に、ウィンドーショッピングをするように海外へは出向くべきだと思いますね。
慣れ親しんだ環境を敢えて変え、
その頻度を多くすれば自分の中の引き出しも増えるし、
人間としての幅も広がりますしね。
そしてそのストックをできるだけ多くの人と共有して、
共にアウトプットする作業を増やせば自然とクリエイティビティは養われると思います。
三戸:
要するに、経験値を高めることと、
インプット・アウトプットの流れをいかに体に落とし込めるかなんですね。
非常に勉強になりました。自分も実践させていただきます。
本日はどうもありがとうございました!
(終)
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