閉館後の美術館で“学芸員”に!?「どこか奇妙な職業体験 真夜中の学芸員」

閉館後の美術館で、学芸員として働く。しかも、点検するのは普通の作品だけではないようで……?
虎ノ門ヒルズ・TOKYO NODEで開催されている「どこか奇妙な職業体験 真夜中の学芸員」は、閉館後の美術館を舞台に、“学芸員”として展示室を巡回する没入体験型ナイトミュージアム。舞台となるのは、実際に開催中の現代アート展『トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~』です。
昼間とは少し様子の違う展示室で待っているのは、一体どんな仕事なのでしょう。今回は、真夜中の美術館で始まる、ちょっと奇妙な“職業体験”へ潜入します。
舞台は、ちょっぴり不思議な現代アート展
「どこか奇妙な職業体験 真夜中の学芸員」の舞台となるのは、TOKYO NODE GALLERYで現在開催中の『トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~』。
開催前から注目を集めていた本展は、アメリカを代表するマルチメディアアーティスト、トニー・アウスラーの日本初となる大規模個展です。

アウスラーは、映像や彫刻、音、光、言葉などを組み合わせ、人間の知覚やテクノロジー、メディアとの関係を独自の表現で探求してきたアーティスト。どこか奇妙で、現実と虚構の境界を揺さぶるようなその作品世界は、“真夜中の学芸員”の物語ともどこか重なります。

本展には、初期の代表作から最新作まで49作品が集結。そのうち23作品が日本初公開されています。
会場へ足を踏み入れると、暗闇に浮かぶ無数の「眼」に、こちらを見つめる映像の中の謎の人物。さらに、天井高約15mの空間を生かした巨大作品も登場します。少し不気味なのに、なぜか目を離せない。そんなアウスラー独特の世界が、展示室いっぱいに広がります。
閉館後の美術館で働く「真夜中の学芸員」とは?
そんなトニー・アウスラー展を舞台に、7月24日から9月26日まで開催されるのが「どこか奇妙な職業体験 真夜中の学芸員」。体験時間は約75分。通常の鑑賞時間を終えたTOKYO NODE GALLERYで、参加者自身が“真夜中の学芸員”となり、閉館後の展示室を巡る没入体験型ナイトミュージアムです。
昼間は作品を“鑑賞する側”だった美術館で、夜になると今度は作品を見守る側へ。学芸員として与えられた仕事をこなしながら館内を巡っていくと、いつもの展示室とは少し違った出来事が待っているようで……。
閉館後の美術館で働く“真夜中の学芸員”には、一体どんな仕事が待っているのでしょうか?ここからは、その奇妙な仕事を少しずつのぞいてみましょう。
原因不明の“おかしな出来事”を調査せよ!

物語は、虎ノ門ヒルズから届いた一通の依頼から始まります。
TOKYO NODE GALLERYでは、閉館後になると原因不明の“おかしな出来事”が相次いでいる。その真相を確かめるため、参加者に任されるのが、誰もいなくなった展示室の巡回と調査です。
“動き出す展示物”や“瞬きをする肖像”など、どうやら館内では気になる異変が起きている様子。その正体を突き止めることが、“真夜中の学芸員”に与えられた仕事です。
大人が本気で“職業”になりきる人気シリーズ
この奇妙な職業体験を企画・制作しているのは、没入型体験イベントを手がける株式会社夕暮れ。

「どこか奇妙な職業体験」は、普段なら経験することのない“仕事”を与えられ、参加者自身がその役になりきって物語を進めていく、大人のための職業体験シリーズです。
始まりは2025年。虎ノ門ヒルズ ステーションタワー全体を舞台にした「虎ノ門ヒルズ清掃員」を皮切りに、住所非公開の一軒家で行われた「根津一軒家清掃」や「夜の学校調査員」など、日常にありそうでどこか奇妙な“仕事”を次々と生み出してきました。シリーズ累計の参加者は8,000人以上にのぼります。
そして、虎ノ門ヒルズを舞台にした第2弾で任されるのが、“真夜中の学芸員”。
ただ物語を見るのではなく、「仕事だから」という理由で、普段なら入れない場所へ入り、いつもならしないことに挑戦する。そんな設定が、いつの間にか参加者を物語の中へ引き込んでいきます。
閉館後だからこそ楽しめる、3つの“奇妙な体験”
“真夜中の学芸員”に与えられた仕事が分かったところで、ここからは実際に閉館後の美術館へ足を踏み入れると、どんな体験が待っているのかをチェック。白手袋をつけて展示室を巡回したり、本物の現代アート作品と物語が重なったり。昼間の展覧会鑑賞では味わえない、3つの“奇妙な体験”をご紹介します。
①白手袋をつけて、閉館後の美術館を巡回

最初に手渡されるのは、「真夜中の学芸員」限定の白手袋。それを身につけると、いよいよ仕事の始まりです。
来館者が帰ったあとのTOKYO NODE GALLERYへ入り、静まり返った展示室を巡回。館内で起きている異変を探しながら、普段とは違う視点で作品と向き合っていきます。
さらに、通常の展覧会では来館者が入ることのできない場所へ足を踏み入れる場面も。「ここ、本当に入っていいの?」と少しドキドキするような体験が待っているのも、閉館後ならではです。
しかも会場があるのは、東京の夜景を一望できる地上45階。来館者のいない静かな展示室と窓の向こうに広がる夜景が、昼間とはまったく違う美術館の表情を見せてくれます。
白手袋をつけ、いつもなら通り過ぎる場所を点検し、ときには普段入れない場所へ。ひとつずつ“仕事”をこなしていくうちに、少しずつ学芸員らしい気分になっていきます。
②本物の現代アート作品が、物語の一部に

このイベントの大きな特徴が、実際に開催されている現代アート展そのものを、物語の舞台にしていること。
イベントのためにつくられたセットや架空の展示室ではなく、本物の作品が並ぶTOKYO NODE GALLERYを丸ごと使って、“真夜中の学芸員”の物語が展開していきます。

しかも舞台となるのは、もともとどこかミステリアスで、人間の感覚を揺さぶるような作品が並ぶトニー・アウスラー展。本物の作品が持つ存在感や展示空間そのものの雰囲気まで演出の一部になることで、つくられたセットだけでは生まれないリアリティが加わります。
「展覧会を見る」のではなく、「本物の展覧会そのものが物語になる」。そんなスケールの大きな仕掛けも、「真夜中の学芸員」ならではの見どころです。
③どこまでが現実? 虚構と入り混じる真夜中の世界

そして、本物の展覧会を舞台にしているからこそ生まれるのが、「どこまでが現実で、どこからが物語?」という不思議な感覚。
閉館後の展示室を巡っていると、目の前で起きた出来事が、もともとのアート作品なのか、この夜のために仕掛けられた演出なのか、少しずつ分からなくなっていきます。
今、動いたのは作品だから? それとも、“学芸員”として調査すべき異変……?
ひとつひとつ自分の目で確かめながら進んでいくうちに、最初は“鑑賞するもの”だった作品の見え方まで変化。いつの間にか、美術館そのものがひとつの奇妙な世界になっていきます。
ただ物語の中に入り込むだけではなく、現実の美術館とフィクションの境目を、自分自身で探りながら進んでいく。この少しゾクッとする感覚まで楽しめるのが、「真夜中の学芸員」ならではです。
“不可思議”な世界は、美術館の外にも
ここまで閉館後の美術館を巡ってきましたが、この夏の“不可思議”な世界は、展示室の中だけではありません。実は「真夜中の学芸員」のほかにも、トニー・アウスラー展を起点にしたさまざまな企画が虎ノ門ヒルズ各所で展開されているのも面白いポイント。
会期中は館内5店舗に展覧会とのコラボメニューも登場。《スペキュラー》の「眼」をモチーフにしたドリンクや、本展のテーマのひとつである「魔術」から着想を得た色が変化するカクテルなど、作品の世界観を“味わう”楽しみ方も用意されています。

さらに、8月7日から16日まで開催された「Summer Mystery Night -虎ノ門ヒルズの“不可思議”な夜-」では、その世界が街の中へも。
アーティスト・山内祥太によるプロジェクションマッピング作品《カオの惑星》をはじめ、《キメラ》から着想を得た提灯づくりや怪談イベントなど、“不可思議”をテーマにしたさまざまな企画が虎ノ門ヒルズのあちこちに登場します。
昼はアートを楽しみ、街ではその世界観を味わい、夜になったら“真夜中の学芸員”へ。時間帯や場所を変えながら、ひとつのテーマをさまざまな角度から楽しめる夏になっています。
「アートを見る」から、「アートの中で働く」へ
普段、美術館を訪れるときの私たちは作品を“見る側”。でもこの夜は、そんな立場がガラリと変わるかも?白手袋をつけて“学芸員”となり、閉館後の展示室を巡回。「これは作品? それとも……?」と異変を探していくうちに、いつもなら鑑賞するだけだった作品との距離感も少しずつ変わっていく。
アートを「見る」だけではなく、その世界に役割を持って入り込んでみる。既存の展覧会に“職業体験”という新たな視点を重ねることで、同じ空間、同じ作品から、まったく違う体験を生み出す。そんなイベントのつくり方も、「真夜中の学芸員」の注目ポイントです。
場所や作品そのものが持つ魅力を生かしながら、そこに新しい物語や役割を加えることで、体験の可能性はまだまだ広がっていきそうな予感。この秋は不思議な体験をしに、虎ノ門を訪れてみては?それではまた!
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