『素直』は、本当に褒め言葉なのか?

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こちらの要約文はAIによって生成されたものであり、情報の正確性を保証するものではありません。

「暁さんって、本当に素直ですよね。」

これまでに何度か、そんな言葉をかけてもらったことがあります。もちろん、言ってくださった方は褒め言葉として伝えてくれていますし、私自身も「素直に人の話を聞けること」は良いことだと信じてきました。

しかし最近になって、その言葉には別の側面もあるのではないかと考えるようになりました。

もしかすると、「素直」というのは、依頼の目的や背景を深く考えず、「言われたことをそのまま実行する人」という意味にもなり得るのではないか……。

例えば、上司から資料作成を依頼されたとき、私は「承知しました」と返事をして、すぐに作業へ取りかかります。ところが、完成後に「やっぱりこの資料はいらなかったね」「イメージしていたものと少し違うかな」と言われることがあります。

以前の私は、「資料の作り方が悪かったのだ」と考えていました。

しかし、『グロービスMBAクリティカル・シンキング(改訂3版)』を読んでみると、本当の問題はもっと前の段階にあったのではないか、と気づかされました。

私は「依頼された仕事を終わらせること」に意識が向きすぎていて、「そもそも、なぜこの資料が必要なのか」という目的を十分に考えられていなかったのです。

この本を読んだ理由

本を読む柳瀬

この本を手に取ったきっかけは、会社を通じて受講予定だったグロービスの「クリティカル・シンキング研修」でした。研修では一定の成果が求められるため、事前に基礎をしっかり身につけておきたいと思ったのです。

それ以上に、私は以前から「論理的に考えること」や「物事を批判的に捉えること」は、自分の弱みの一つだと感じていました。

先ほどの例のように、私は依頼された仕事に対して、目的や背景、求められている成果を十分に確認しないまま作業を始めてしまうことがあります。その結果、一生懸命取り組んだにもかかわらず、「求められていたものとは違う」という結果になってしまうことも少なくありません。

振り返ってみると、問題は仕事を進める能力そのものではありませんでした。

「私たちは最終的に何を実現したいのか」

その問いを立ち止まって考えられていなかったことこそが、本当の課題だったのです。

だからこそ、この弱みを克服したいという思いが、この本を読む大きな理由になりました。

「理解する」と「できる」は違う

本を読み終えた率直な感想は、「読んだだけではクリティカルシンキングは身につかない」ということでした。

以前、当社代表の光畑が「『理解していること』『実際にできること』『人に教えられること』は、それぞれ異なる学習段階だ」と話していたことがあります。

今回の読書を通して、私はようやく「理解する」という段階までは到達できたように思います。しかし、日々の仕事の中で自然に実践できるレベルには、まだ至っていません。

だから私は、この本を「一度読めばクリティカルシンキングが身につく本」ではなく、「クリティカルシンキングを身につけるためのスタート地点」だと考えています。

これから実際の仕事の中で何度も意識して実践し、自分の思考のクセとして定着させていくことが、本当の学びにつながるのだと思います。

クリティカルシンキングに欠かせない3つの姿勢

本書では、クリティカルシンキングの土台となる3つの姿勢が紹介されています。

  • 常に目的を意識すること
  • 自分にも相手にも、思考のクセや偏りがあることを前提にすること
  • 前提や結論を疑い続けること

一見すると当たり前のようにも思えますが、自分の仕事を振り返ってみると、私はこれらを十分に実践できていませんでした。

また、本書では「考え方の進め方」についても、とても分かりやすく整理されています。

まず、本当に考えるべき・議論すべき課題(イシュー)を明確にすること。次に、その課題に答えるために必要な視点やフレームワークが漏れなく整理されているかを確認すること。そして最後に、根拠を示しながら明確な結論を導き出すことです。

特に印象に残ったのが、「ピラミッドストラクチャー」という考え方でした。

最上段に結論(メインメッセージ)があり、その下に要点、さらにその下に根拠や具体例を配置していく構成です。この考え方は、論理的に考えるためだけでなく、相手に分かりやすく伝えるうえでも非常に実践的だと感じました。

イシューを見極め、適切なフレームワークをつくる

私が特に難しいと感じたのは、イシューを見つけること以上に、それを整理するためのフレームワークを考えることでした。

「何を答えるべきなのか」という中心となる問いは比較的見つけられるのですが、その問いをどのような切り口で分解すればよいのかは、まだまだ難しいと感じています。

例えば、状況によっては「3C(Company・Customer・Competitor)」のような既存のフレームワークが役立つこともあります。一方で、「依頼された仕事」「その仕事の目的」「なぜその依頼が必要なのか」といったように、自分で整理の軸をつくる必要がある場面もあります。

問題をどのように分解するか。その力は、今後さらに伸ばしていきたいと感じている部分です。

また、フレームワークは、集めた情報を整理するためだけのものではありません。

「何の情報を集めるべきか」を決める役割もあります。適切なフレームワークがなければ、どれだけ多くの情報が集まっても、有効な結論にはたどり着けない可能性があります。

判断する前に評価基準を決める

本書から得た実践的な学びの一つが、「評価基準を先に決める」という考え方です。

例えば、イベントで協力会社を選定するときには、

  • 価格
  • 納期
  • 品質
  • レスポンスの速さ
  • 担当者との相性
  • 実績
  • 信頼感・安心感

といった観点で比較することができます。

事前に「何を重視するのか」を決めておけば、各社への質問もより的確になり、本当に必要な情報を集めやすくなります。

逆に評価基準が曖昧なままでは、重要な情報を見落としたり、各社を公平に比較できなかったりする可能性があります。

評価基準をあらかじめ設定しておくことで、判断のプロセスが明確になり、より納得感のある意思決定につながるのだと感じました。

この考え方は、協力会社の選定だけでなく、会場選びや企画立案、制作計画など、さまざまな業務に応用できそうです。

「論理の飛躍」を防ぐ

本を読む柳瀬

演繹法と帰納法についての解説も、とても印象に残りました。

一見すると筋が通っているように見える話でも、実は途中の論理が飛躍していることがあります。結論だけを見ると納得できそうでも、それを支える根拠が十分でないケースは少なくありません。

本書では、そんなときに次のような問いを持つことが大切だと書かれていました。

  • 「ほかの理由は考えられないか?」
  • 「別の原因があるのではないか?」
  • 「この根拠だけで本当に結論を導けるのか?」

こうした問いを持つことで、「何となく納得できそう」という理由だけで結論を受け入れてしまうことを防げます。

また、本書では先入観や固定観念が観察そのものに影響を与えることについても説明されています。

観察している情報自体に偏りがあれば、そこから導き出される結論も当然偏ってしまいます。

つまり、クリティカルシンキングとは結論だけを疑うことではありません。その結論のもとになっている情報や前提まで立ち返って考えることが重要なのです。

「相関関係」と「因果関係」は違う

原因と結果の関係についての章も、とても学びが多い内容でした。

二つの出来事が同時に起こると、「一方がもう一方の原因だ」と考えたくなります。しかし、本当に因果関係があると言えるのかどうかは、いくつかの条件を確認する必要があります。

例えば、

  • 原因とされる出来事は、結果よりも先に起きているか。
  • 両者には本当に関係があるのか。
  • 第三の要因が両方に影響している可能性はないか。
  • ほかに考えられる説明はないか。

こうした視点を持つことで、「相関関係」と「因果関係」を混同しないことの大切さを改めて実感しました。

ビジネスでは、何か結果が出たときに「なぜそうなったのか」を分析する場面が数多くあります。しかし、原因を誤って捉えてしまえば、その後に打つ施策も間違った方向へ進んでしまいます。

だからこそ、状況を正しく理解するためには、物事を細かく分解し、多角的な視点から考え、一つの説明だけで安易に結論づけない姿勢が大切なのだと感じました。

AI時代だからこそ、クリティカルシンキングが重要になる

今やAIは、数秒で「もっともらしい答え」を作り出せる時代になりました。

情報を要約し、アイデアを提案し、資料を整理し、一見すると論理的な文章まで作成できます。

しかし、論理的に見える答えが、必ずしも正しいとは限りません。

本当に適切な課題に答えているのか。論理に飛躍はないか。重要な視点が抜け落ちていないか。そして、自分たちが本来達成したい目的につながっているのか。

それらを判断するのは、今でも人間の役割です。

そう考えると、AIが普及した今だからこそ、クリティカルシンキングの重要性はますます高まっていると感じます。

「本当にそうなのか?」
「なぜそう言えるのか?」
「結局、何を意味しているのか?」

そんな問いを持ち続けられる人の価値は、これからさらに大きくなっていくでしょう。

AIは答えを生み出すことはできます。しかし、その答えを信頼してよいのか、実際に使うべきなのかを判断するのは、人間にしかできません。

「理解する」から「できる」へ

本書には演習問題も数多く用意されており、ただ解説を読むだけではなく、自分自身で考えながら学べる構成になっていました。

一方で、それらに取り組んだからこそ、「理解すること」と「実践できること」は全く違うということも痛感しました。

イシュー、フレームワーク、ピラミッドストラクチャー、演繹法、帰納法、因果関係などの基本的な考え方は理解できました。しかし、それらを実際の仕事で自然に使いこなせるかというと、まだまだこれからです。

次の目標は、「理解する」から「できる」へ進むことです。

これからは何か依頼を受けたとき、反射的に「承知しました」と答えて作業を始めるのではなく、まず自分自身に問いかけたいと思います。

  • この仕事の目的は何だろうか。
  • 本当に求められている成果は何だろうか。
  • 誰が使い、何を知りたいのだろうか。
  • この依頼内容は、目的を達成するための最善の方法なのだろうか。

「素直であること」は、言われたことを何も考えずに実行することではありません。

相手の意図をしっかり理解したうえで、自分自身でも考え、より良い方法を判断できること。それこそが、本当の意味での「素直さ」なのではないかと思います。

これからも、人の意見を素直に受け止める姿勢は大切にしていきたいと思っています。

その一方で、自分自身の判断軸もしっかり持てる人になりたい。その両方を兼ね備えた人を目指していきたいです。

この一冊を読んだからといって、クリティカルシンキングが身についたわけではありません。

しかし、自分の考え方の課題に気づき、これから成長していくための土台を得ることはできました。

これから始まる研修、そして日々の仕事を通して、「理解する」から「できる」へ。そして、いつかは人に教えられるレベルまで成長していきたいと思います。

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最終更新日:

WRITER

柳瀬 暁

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